Short Story × Songs 【QK】

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「でね？この声優さんがね？？めっっっっっちゃくちゃキレイなの！！！」


今日はとことん飲むつもりだったのだろう。
須貝さんは大好きなアニメの話を山本さんにしている。

そんな大きい声でここが可愛い、あの部分やばかっただの力説されると、悲しくなってくる。

どんだけ私のこと眼中にないの！？須貝さんが言っていた声優さんを調べてみると、確かにキレイ。
しかも、ショートが似合うお姉さんだった。自分と比べてみる。自分はまるで正反対じゃないか。

私はキレイでもないし、髪の毛はロング。私だって、頑張ってキレイになろうとしているのに。

好きな人のためにキレイになることはいけないことなの？？


『絶対に振り向かせてやる』

「え、Aちゃん？」

心配そうに声をかけてくれた福良さんを無視して、私は気合に満ちていた。





.



「あれ、A香水つけた？」

『あ、分かります？どうです？？』

「うん、良いよ」

久しぶりに同窓会に行ってくるね〜とスキップしながら家を出ていった母親がつけていたパヒュームを勝手につけてみた。
だけど私にはあまり良い匂いには感じなかった。けど、須貝さんには褒められた。

そうなのか、やっぱり大人の感覚が分からない。まだまだだな…。


「なんで急に香水なんかつけたん？」

撮影している須貝さんとは隣の部屋で、静かに編集をしていたら記事を書いていた川上さんに聞かれた。

『あぁ、いや、母のを勝手につけてみました笑』

「ふーん」

え、いや、聞いてきたのそっちなのに素っ気なくない？！でも、ここで話を終わらせたくなくて続けることにした。

『須貝さんって、ショートの人好きですよね』

「まぁ、推しって言ってる人はそうかもね」

『私も髪切りたいんですけどね、なかなか勇気出ないんですよ…』

「そうなんだ」

ってこれ、完全に愚痴になってる！申し訳ない！！


「けど、大事なのは気持ちじゃん？」

『想ってるだけじゃ心が掴めてないのが現状ですよ？？』

うーん…と何とも言えない表情をしている川上さん。
須貝さんの瞳を引き寄せることができるビヤクでもあれば、欲しいのにな。

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