Short Story × Songs 【QK】

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どうしてこんな夢に迷い込んだのだろうか。
絶対に私が栓を抜いたからだろう。
もし、あの場で栓を抜いていなかったら、普通にお湯は溜まっていたし、何も無かったかのようにシャンプーをしていたはずだろう。



夢だとわかっているけれども、恥ずかしいものは恥ずかしい。夢でもたとえ、嫌われたくない。
だけどこれは河村さんがここから出たいということでやった。決して私の私利私欲のためではない。仕方の無いことだった。
しかし夢の中でもチキンは変わらずのため、キスをしてすぐに下を向いてしまって目をつぶってしまって、河村さんの顔を見ることは出来なかった。




恐る恐る目を開けてみる。そこは、見慣れた景色。
あぁ、本当に戻れたんだ…
キスのことを言われなければ、好きですとか言えたんだろうなー。
妙にリアルな夢だったから、リラックスしてたはずなのに疲れてしまった。
明日も普通に学校があるし、さっさと出るか。

これはまた1つの思い出ということで蓋をして眠りについた。




.




いつも通りの時間に起きて、学校に行く。
予習もきちんと済ませていたので授業になんとかついていけた。
そしてあっという間に時間は流れ、バイトの時間になった。

夢の中であんだけ話せたんだから、今日こそは話せるよね。まぁ、夢でキスしちゃったけど。
そもそも、現実世界での彼の名前が河村さんだとは限らない。やはり、最初は名前から聞くべきか。
そんなことを思いながらせっせと商品を並べていると、Aさん、と声をかけられた。

『河村、さん…』

紛れもなく声も姿も夢で見た彼だった。
私が河村さんと呼ぶと、やっぱり。と呟いた。
まさか、河村さんも同じ夢を見たって言うのか…？

そう思うと、キスのことを思い出して一気に顔が赤くなる。幸い店内は私と河村さんだけだった。

「昨日、変な夢を見ました」

『…私も、見ました』

「ずっと貴方のことが気になってました」

『……私も、です』

「これを機に、友達になりませんか？」

『…勿論です！』


これは、お風呂で体験した不思議な夢の話が続いているのかな？
いいや、きっと私たちのことを応援してくれているが故の夢だったんだろう。





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