Short Story × Songs 【QK】

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「僕、河村拓哉と言います。貴方は？」

『AAと言います』

「Aさん…素敵な名前ですね」

『ありがとうございます………』

なんということでしょう！名前を聞くことが出来ましたよ！まさかの本人から名乗ってくれましたよ！
そして、聞きました？私の名前を呼んでくれましたよ！しかも、素敵な名前ですねなんて！
ありがとうお母さん！この名前にしてくれて初めて嬉しいと思ったよ！！

話はここからどう出るか、という話になった。

「何か手がかりとかあればいいんですけどね」

そこでさっきのフード人間を思い出した。
そう言えば、あのタイミングで服を着させてくれてナイスタイミングだったな。
だってダサい格好って言われちゃってたし。そんなダサい格好で好きな人の前には出れない！たとえ夢だとしても！


『誰も居ませんよね、ここ』

「はい。まるで僕達しかいないみたい」

『さっきフードをかぶった人がいた気がしたんですけどね。すぐ見失いました』

そう言うと河村さんはビックリした顔でこっちを見ていた。
あれ、私変な事言ったかな？

「僕のところでは髭のついた人がいましたよ」

髭…何とも反応しにくい人だなぁ…！

『もう一度会えればいいんですけどね笑』

「呼んでみます？」

『え、どうやってですか？』

「…フードの人ー！って感じですかね」

いや、なんという絵面になるんだそれは。
しかも、呼び方にもくせが強すぎる。
まあ、でも楽しそう。

『…フードの人ー！！！！！』

息を思い切り吸って、これでもかと大声で叫んだ。
きっと私が大声を出すようなキャラには見えなかったのだろう。河村さんは驚いて固まってしまっている。
どうせなら現実じゃ出来ないことを楽しもうじゃないか。
河村さんは少し笑って、同じように叫んだ。

「髭の人ー！！！！」

『河村さん、声が小さいですよ？』

「すいません…元々そんなに大声を出すのが得意じゃないので」

んな！まるで私が大声出すことが得意みたいな言い方！丁度ムカつく教授や先輩のことを思い出してストレス発散に叫んだら思ったより大声が出ただけなのに！

『おぉーーーーーい！！！誰かー！！！！』

居てもたってもいられず、もう一度叫んだ。

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