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「ひかるは黄色が好きなのか？」
「うん。いちばんすき」
よく見ればこの部屋には黄色い小物が多い。
さっきまでひかるが飲んでいたであろう
ココアの入った黄色いマグカップに黄色い本棚。
黄色い収納ケースに黄色いテディベア。
まるで絵本の中の世界のようにファンタジックだ。
「ボクはピンク色が一番好き〜！」
ちねんはいつの間にか伊野尾の膝の上に乗ってそう言った。
「ピンクか！かわいいちねんにピッタリだな」
ちねんは「まぁね」と言った。自分がかわいいのは自覚済みらしい。
「俺は青〜」
膝の上のちねんぎゅっと抱きしめた伊野尾が言った。
きゃー！とちねんが声をあげる。
「あー、ぽいな。青好きそう」
「なんだよそれ」
「やぶは？」
ひかるは手元の植物図鑑をペラペラとめくった。
「やぶの好きないろ、どれ？」
これか、これか。花を指で追いながら俺の好きな色を
予想しているらしい。
「うーん、しいていえば黄緑色かなぁ。
サッカーやってた時のユニフォームが黄緑色で
結構気に入ってたんだ。」
「へぇー、お前のことだから赤とか言うのかと思った。
目立つし、エースの色だし」
「おいコラ、どういう意味だ」
俺は伊野尾に肩パンを食らわす。
こんなのクラスの連中が見たら悲鳴をあげるだろう。
そして俺は大悪党呼ばわりされるのだ。
「きみどり…」
ひかるはペラペラとページをめくる。
そしてタンポポを見つけたかと思うと
より一層キラキラした目で俺を見つめてこう言ったのだ。
「これ、おれとやぶの色だ！」
黄色い花びらに黄緑色の葉っぱと茎。
「そ、そうだな！タンポポはおれとひかるの花だ！」
俺はとんでもなく検討ハズレなことを言ってしまったのではないか。
だけど完璧にひかるに射抜かれて爆発寸前だった俺の脳みそは
先程の発言を訂正する余裕すらなかった。
続く (更新停止中)
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作者名：くうちゃむ | 作成日時：2021年9月23日 19時
