白百合園に咲く彼岸花 (ページ1)

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ひかるの知能指数は7才前後で止まっている。
数字だって満足に数えられないし、文字だってひらがなを書くのが
やっとだ。
彼は12歳の時に実親に捨てられ、街を寝巻きに裸足で
彷徨っていたんだそうだ。
東京の道路なんか、たかが知れているだろう。
その時の名残で、今でもひかるの足の裏はガラスで切れた跡や
石ころを踏んずけてできた傷などでボコボコとしていて
おまけに鬱血痕や傷口に入った砂やゴミなどで
泥のような色をしている。

警察に保護されたはいいものの
言葉なんか満足に知らないし、
見ていられないほどボロボロなのに
ひかる自身はと言うとニコニコと笑っていて
警官にあそぼ、あそぼ、としきりに強請った。

手を焼いた警官は彼を精神科医に見せた。
顔中シワだらけで背も小さいおじいちゃん先生は
猫背をさらに丸めて至極穏やかな声色で言ったのだ。
「この坊やは十(とう)を過ぎたあたりだろう。
けれど、知能指数は7才前後、分かりやすく言うと
小学校1年生あたりということです。」
その時もひかるはニコニコと笑っていた。

その後、ひかるは児童養護施設に送られた。