蜜が9滴 ページ10
「とりあえず、コイツは任務に連れて行く。役に立ちそうもねぇが、こんなのも一応隊員だしな。」
「人には人の事情があるんだから無神経に色々つつき回さないでいただきたい!!アオイさんを放せ!!」
「…ぬるい、ぬるいねぇ。このようなザマで地味にグダグダしているから鬼殺隊は弱くなってゆくんだろうな。」
「アオイさんの代わりに俺たちが行く!」
竈門の発言に空気が変わる。
宇髄の視線は冷たくありながら、品定めをしているかのようだった。
「あっそォ、じゃあ一緒に来ていただこうかね」
『……正気?えっ、ちょっと、宇髄君、嘘だろう?』
「ただし絶対に逆らうなよ、お前ら」
『あっ、こら!!君は本当に、もう!』
涙目の神崎を受け取り、優しく背中を擦る。
怖かったね、もう大丈夫、と声をかけながら。
そっと着物の袖で涙を拭うと、神崎は目をぱちくりと瞬かせた。
「アゲハさん、お化粧されてるんですか…?」
『あぁ、うん。どう?可愛いかなぁ?』
「え、えぇ、とても、お似合いです、着物も素敵ですし……」
『アオイちゃんにそう言ってもらえたなら信じられるよ。……さ、行ってくるね、皆いい子にしてるんだよ』
1人ずつ優しく頭を撫でて、蝶屋敷を後にする。
Aが歩く度に鼻に届く甘い香り。それを竈門は不思議に思いながら宇髄の後ろを歩いていた。
Aはというと宇髄の隣。
背が高いとはいえ、後ろから見れば2人はお似合いだった。
『心配だよ、本当に。言質を取ったといえど、ねぇ?』
「男に二言は無いので大丈夫です!」
『……守るものが増えてしまった……』
はぁ、と浅くため息をつく。
ただでさえ向こうの市民を守らねばならないというのに、また後輩隊士が増えてしまった。
大勢の中3人増えたところで変わりはしないが……少しばかり心配だった。
「で?どこ行くんだ、オッサン」
「日本一色と欲に塗れたド派手な場所。」
抽象的な言葉に竈門、嘴平はぽかんとしている。
一方、我妻の方は気付いている様子だった。
『
半身で振り向き、妖艶に微笑む。
紅を引いた唇は艶やかに弧を描いていた。
127人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:諒 | 作成日時:2020年12月22日 19時