蜜が3滴 ページ4
まず、1つ。胡蝶特性の新薬を刀に塗った。
痛みが強く、長い間悶苦しませることができるものを。
2つ。頸を斬らない限りは再生するのをいいことに、何度も四肢や体を切断し、解剖した。
逃げられぬよう、予備の刀を地面に突き刺して。
3つ。人間にとっての劇薬を鬼に垂らしてみた。
ある薬品は焼け爛れさせ、またある薬品は皮膚を溶かす。
その他色々とやったがAはこれらを"研究だ"と言い張る。
実際そうなのだが、周りからしたら必要以上に痛めつけている他ない。
『カナエちゃんみたいに優しかったらいいんだけどね。……生憎、優しいだけじゃあ生きていけない。僕らなんかは特に。』
「えぇ、存じています」
『彼らの限界がわかればこっちも有利になるし、小さな一歩は大きな一歩に繋がる。そこに犠牲があるのは仕方のないことだと思うよ』
そう言って2人はにこやかに笑う。
換気をすべく、縁側の襖を開ける。
賑やかな声に耳を澄ませていると、しのぶは声を弾ませながら言った。
「それにしても……随分と可哀想ですねぇ」
『はは、しのぶに感化されてしまったかもしれないね』
「心外です!私は然るべき処罰を下しているだけなのに……」
『それなら僕も同じだ。安心したなぁ』
そう、自分たちがしていることは粛清。例えどんな理由があったとしても、人を喰らうということは人道的ではない。
行った者はそれを償わねばならない。
頸を斬るだけなんて甘ったれたことはしない。苦しんだ人間の数だけ、苦しんでもらう。
すべて耐えられてやっと、地獄へ落ちるのだ。
「……あら、この鬼と話したんですか?」
ふと気になったことを聞いてみる。
基本鬼とは一方通行の会話しかできない。が、ここに書いてあるのは違った。
ちゃんと会話が成立した、と記してある。
『あぁ、話せるようだったから。』
「へぇ〜……珍しい個体もいるんですね」
『結構な数を喰らっていたし……人数と知能は比例するのかもしれない』
上弦、下弦共に意思疎通が図れないものは今のところいない。
そしてそれらに属していない鬼でも、強いものとは会話をすることが可能だった。見るからに劣って見える鬼とは会話ができない。聞く耳持たずだ。
「ちなみにどんな会話をされたんです?」
『……有益な情報は得られなかったけれど、覚えている限りは話そう。』
ちょいと手招きをして自分の横に座らせる。
外からの陽射しが縁側を温めていた。
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作者名:諒 | 作成日時:2020年12月22日 19時