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蜜が28滴 ページ29

事後報告を済ませ、各所に謝罪を述べたA。
皆彼女らを心配していたようで、快く謝罪を受け入れてくれた。




『……この団子を___』


「あらあら、たくさん買うのね!」


『はい。……家族と食べようと思って』


「そうなの!なら、おまけもつけておくわ」



街にて団子を買い、おまけにあられをもらった。
屋敷にいるのは若い子ばかり。きっと気に入ってくれるはずだ。



あの一件があってから、ようやくちゃんと会うことができる日。
Aの足取りは軽く、屋敷まではあっという間だった。




屋敷の扉を開け、居間に足を踏み入れる。
皆そこに集まっており、Aの顔を見るなりわんわんと泣き出した。




『おっとと、ただいま』


「おかえりなさい〜〜〜!!!!」


『はは、皆泣いてるね』




飛びついてきた隊士を軽々抱き留め、頭を撫でる。
こんな幼いのにあんな怖い思いをしたんだ、泣かないわけがない。さぞ怖かっただろうに。




『さっき、街で団子を買ってきたんだ、皆で食べよう』


「お団子!!」


『いつまでも泣いている子にはないからね、目拭いて』




安心させるように微笑み、買ってきた団子を配る。
やっぱり食べ物には皆目がなくて、瞬く間に涙がひっこんだ。現金なところも正直で可愛らしい。



精神状態を見るべくしばらく留まり、屋敷を離れたのは一週間後だった。




蝶屋敷にて。食事の配膳をしてくれたのは竈門だった。
怪我はほぼ完治したらしい。あとは最終調整なんだとか。もうすぐここを発つだろう。




『悪いね、小間使いみたいにしてしまって』


「いえ、ここにいるからには手伝わせていただきたくて」


『助かるよ。ここにいる子は皆忙しいから』




心優しい竈門の存在は非常に助かる。
訓練をしながらもできることは手伝ってくれた。正直ここを発つのは惜しい。




「……アゲハさんの部屋って、不思議な匂いがしますね」




ゆっくり室内を見渡す竈門。
棚にある瓶はきっとこの部屋の原因だろう。




『…あぁ、薬品がここにたくさんあるからかな』


「薬品…」


『あぁ、研究してたらたくさんの薬品が集まってしまってね』


「そうなんですね。…あっ冷めちゃいますよね、すみません!どうぞ!!」




急いで昼食を置き、そそくさと部屋を出て行った。
廊下から軽い足音が遠ざかっていく。



竈門が部屋から離れたのを確認し、Aは棚にしまわれている薬瓶に手を伸ばした。

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作者名: | 作成日時:2020年12月22日 19時

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