検索窓
今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:43,552 hit

蜜が25滴 ページ26

急いで屋敷の門を開ける。
いつもなら女人隊士たちの華やかな声が聞こえるというのに、恐ろしいくらいに静かだ。



『___いない、誰も』




隊士の名前を呼んでいくものの、返事がない。
全隊士の任務予定は把握している。今日はほとんどの隊士が休みなはず。なのに誰もいないなんておかしいに決まっている。



どの部屋にも人がいない。靴だってない。




『どこだ…最近の任務はここから近いところ…でもそこの鬼は討伐されたし、被害者はいなかったはず……』


「ぁ、ぁ、アゲハさ、」


『……凛?』



Aの前に姿を見せたのは、涙を流す隊士だった。年は竈門と同じくらいだ。
こらえていた声はだんだんと漏れ、大きな声で泣き出した。


落ち着くまで背中を摩れば、途切れながらも状況を話し始めた。




「日に日にみんながいなくなって、それで、怖くて、隠れてて」


『……皆の場所はわかるかい?』


「た、ぶん、東の方の__」




聞いたこともない名前の山。鴉に目配せをすると、鴉はこくんと頷いた。おそらく知っているのだろう。
こんな状況でここにいさせるのは危険だし、怖い思いをさせるのはよくない。
となると、どこかに預けなくてては。




『……わかった、すぐに行く。凜は蝶屋敷に行っていなさい、きっと守ってくれるから』




凜が屋敷から出て行ったのを確認して言われた山へと急ぐ。



頂上辺り、開けたところの木には蝶の呼吸の隊士が吊るされていた。
皆眠っているようだ。鬼は……少し細いが、弱くはなさそうだ。


何やら作業をしていた鬼はこちらに振り返ると、にんまりと笑った。




『やあ。僕の部下が世話になっているようで。…悪いんだけれど、苦情が入っているんだ、返してもらおうか』


「あんたぁ、こいつらの上司ってことは蝶の呼吸の柱ってことかぁ!ご足労様だ!」


『いかにも。さて…理由も知らずに殺めるのは道理に反する。彼女らを捕らえた理由を聞かせてもらおうか』




離れた岩に腰を掛け、話をするよう促す。
パンパンと手を叩いて、鬼は話始めた。



味がいいとされる蝶の呼吸の隊士を大量に捕らえ、食らうという魂胆らしい。
女性を食うのは力も付くから、ということだそうだ。無防備な隊士を捕らえるのはそう時間もかからない。




『なるほど……しかしなぁ、彼女らを拘束したことで皆困っているんだ。僕じゃダメだろうか?』




嬉しそうに笑う鬼。Aが自作の鱗粉を肌に塗布すると鬼は鼻をすんすんと動かした。

蜜が26滴→←蜜が24滴



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年12月22日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。