【鬼滅】鱗粉ヲ纏フ緑蝶【男主】 (ページ18)

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蜜が17滴ページ18

『竈門君、君は向こうに加勢してきなさい、こっちは2人で仕留める。』

「あっ、待っ、アゲハさんッ！！」

鬼と共に落ちていく宇髄の後を追うA。
確かに、あの間に入ってもできることなんかない、寧ろ邪魔になる。ならば____

竈門が加勢した___攻撃に巻き込まれた___のを横目で確認し、Aも宇髄に加わる。

毒の廻りはどのくらいだ？
あとどれだけ動くことができる？
譜面が完成するのはいつだ？

『宇髄君、次の大きい斬撃でどうにか心臓を止めろ。譜面が完成するまで動くな。』

「わかった、その間頼むぜ」

『任せて。』

刀と鎌がぶつかり合う音が周りに響く。
だんだんと覚束なくなる足と格段に増えた出血量。そろそろだ、きっと仕留めに来るはず。

『っ、宇髄君！！！』

砂埃が落ち着くと、宇髄はその場に横たわっていた。
あぁ、腕を失ったのは大きかったな。

なのに自分は無傷だなんて、皮肉な話だ。

「なるだけお前は怪我を負わせたくないなあ」

『僕もそっちの方が助かるね』

「あぁ、動く度にうまそうな匂いが漂う……いいなあ、いいなぁ！」

彼の言う"うまそうな匂い"というのは十中八九鱗粉のことだろう。
鱗粉を纏う者はとびきり美味い。そしてその鱗粉を持っているのは上羽一族であり蝶の呼吸の使い手だけ。

昔から色々な言い伝えがあり、鬼からは嗜好品として喰らわれ続けていた。

Aだって怪我を負いたくない。必要以上に出血したくない。
それは自分を_____否、仲間を不利な状況へ陥らせてしまうから。

「血鬼術飛び血鎌」

『蝶の呼吸捌ノ型胡蝶之夢』

即座に斬撃を避け、頸に刃を当てる。
軽い力で刀を振ればいとも容易く頸は落ちた。

あとは堕姫だが____

『早く切れッ！今しかない！！！』

「わかってる！！！」

やっと頸を切れた。今切らなきゃもう勝ち目は無いに等しい。
毒を這わせた刀を刺しても体はどんどん直っていく。

「アゲハさん！！切れ、ま」

竈門、嘴平が下を見やると、見上げていたはずのAは再び刀を振るっていた。

地に落ちていたはずの頸が繋がっている。
間一髪直ってしまったのだ。
あと少し早ければ、あの努力は水の泡にならずに済んだのに。

となると、堕姫の方を阻止する他ない。
頸を持って嘴平が屋根の上を全速力で駆ける。

いつの間にか、Aの前から妓夫太郎はいなくなっていた。