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【樹 Side】
14時25分___
樹「今日Aが家に来る...焦る...」
昨日は思わず本心が出ちゃった。
いや、出ていいんだ。
じゃないと、俺とAの関係はずっと平行線だった。
でも、この気持ちに気づけたのは、慎のおかげ。
なんか嫌だな。
よく考えてみれば、Aへの気持ちは気づいてないだけで日頃から感じていたと今思う。
まあ今更、んなこと思ったって都合が良すぎる。
考えるのをやめて、Aが来るのを待とう。
・
14時37分____
樹「...遅くね。」
遅刻をしてくるAなんて珍しい。
プライベートでは、時間は指定しないで適当に来てって感じだったけど。
樹「...好きな人が来ないってこんなにも不安で心配なのか。」
焦りと不安でその場に留まっていられず部屋の中をグルグル。
電話をかけても出ない。
14時44分____
樹「...よし。」
流石に耐えられず、Aを探しに行くことに。
こんな俺って重いかな。
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【慎 Side】
14時28分____
慎「今日はAとお家デートか。
こんな天気に来させてなんか申し訳ないなあ。」
仮の彼氏としては迎えに行きたいとこだけど、
致命的なことに家を知らない。
上に住む樹さんに聞いても答えてくれないだろう。
Prrrrrrr.....〔応答がありませんでした〕
慎「電話にも出ないし。準備でもしてるのかな。」
俺がこんな気持ちになるのは何年ぶりだろう。
人のために自分の精神が削られる感じを味わったのは。
体験初日の時に、姿を見て分かった。
"この子は偽りの彼氏なんて求めてない"
って。
本当は好きな人がいるはずなんだ。
なのに、気づいてない。
気づいてないからこそいい。
Aは
こんな体験に手をつけて、自分を模索して、
体験をしながら、あの同僚への有難みを感じ、
しかしそれを何度も振り払ってきた。
そんな彼女を見て、俺は愛おしさを覚えた。
こういう子が俺の方を向いてくれたらどれだけ
幸せなことだろう...
慎「...あっ。」
俺はふとある事に気づいた。
慎「お菓子でも買ってこよっと。」
そして、この天気の中、俺は外を出る。
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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時