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# 56 ページ8


















「気を取り直して…と。」








余韻に浸り終わり、またスマホの電話帳とにらめっこ。









「樹なら分かってくれる…。」









目を細めて、ポンッと発信ボタンを押した。








Prrrr...となる度にいつ出るのかとドキドキする。



スマホを耳に当てて、出るのを待った。









でも、何コール鳴ってても樹は出ない。



もしかしてやっぱりなんか思ってんのかなあ。



出ないよなあ。













樹「…はい」

「…わっ!!」









出ないと思っていたら、耳に入ってきたいつもの声。







樹だ。









樹「そっちからかけたくせに何驚いてんの」

「いやごめん、出ないと思った。」

樹「心配しなくても出るから笑」








電話越しに小さく笑い声を上げる樹になんだか
胸あたりがポカポカした。









「あ、のさ、今日面と向かって話したいんだけど…」


樹「…俺もそう思ってた」


「あ、ほんと?」








話していくうちに気まずさが無くなっていくような気がした。









「んでさ、今日うち、慎くんとデートだから、
慎くんの家行くついでに樹の家で話したいなあって。」


樹「今日、雷雨なの知ってる?笑」


「知ってるし。降る前にそっち向かおうかなって。いい?」


樹「分かった、何時頃?」


「2時半とかかな。」


樹「了解。それじゃ。」


「うん、バイバイ。」









そうして通話は終わった。




なんだか、暖かい子猫が私のお腹で丸まっているような感覚があった。









「不思議…。」







そう一言呟いて、樹の家へ向かう準備をした。

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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時

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