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「気を取り直して…と。」
余韻に浸り終わり、またスマホの電話帳とにらめっこ。
「樹なら分かってくれる…。」
目を細めて、ポンッと発信ボタンを押した。
Prrrr...となる度にいつ出るのかとドキドキする。
スマホを耳に当てて、出るのを待った。
でも、何コール鳴ってても樹は出ない。
もしかしてやっぱりなんか思ってんのかなあ。
出ないよなあ。
樹「…はい」
「…わっ!!」
出ないと思っていたら、耳に入ってきたいつもの声。
樹だ。
樹「そっちからかけたくせに何驚いてんの」
「いやごめん、出ないと思った。」
樹「心配しなくても出るから笑」
電話越しに小さく笑い声を上げる樹になんだか
胸あたりがポカポカした。
「あ、のさ、今日面と向かって話したいんだけど…」
樹「…俺もそう思ってた」
「あ、ほんと?」
話していくうちに気まずさが無くなっていくような気がした。
「んでさ、今日うち、慎くんとデートだから、
慎くんの家行くついでに樹の家で話したいなあって。」
樹「今日、雷雨なの知ってる?笑」
「知ってるし。降る前にそっち向かおうかなって。いい?」
樹「分かった、何時頃?」
「2時半とかかな。」
樹「了解。それじゃ。」
「うん、バイバイ。」
そうして通話は終わった。
なんだか、暖かい子猫が私のお腹で丸まっているような感覚があった。
「不思議…。」
そう一言呟いて、樹の家へ向かう準備をした。
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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時