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# 55 ページ7















「……っー。」





樹の家に乗り込む前に、一応電話しておかなきゃと思ったけど、なかなか【藤原樹】と記されてる電話帳のボタンを押せない。これを押してしまえば、おそらく不機嫌な気まぐれ猫の樹が




樹「なに」




と冷たいトーンで来ると思うから。









Prrrrrr!!!!





「!!」





電話をかけるのを躊躇していると、電話がかかってきた。






相手は…



「…慎くん…かぁ。」






心臓が高なったのは驚いたからであろう。





きっと今日のデートのことかな。









「…もしもし?」


慎「おはよ、A。」


「うん、おはよう。」


慎「今日は覚えてる?」


「デートでしょ?」


慎「そっ。それなんだけどさあ…」


「うん…?」









と、暗めのトーンに声が下がった。









慎「今日、夜から雷雨らしいんだってよ笑」


「え?うそ!?」


慎「ほんとほんと。テレビ見てみ。」







慎くんと電話しながらテレビをつけると、
下の方に「今夜は関東周辺は雷雨に襲われますのでご注意を」

とご丁寧に書いてあった。








「…まじかぁ。」


慎「…俺も悲しい。笑」


「今日デートやめよっかぁ。」


慎「家に来てもらおうかなって思ったけど、雷雨の中帰らせるわけには行かないしね。」









でも今日、樹の家行くとしたら雷雨が降る前だから…慎くんには会える。





いやでも待てよ?またこんなことしたら大変なことになるのでは?





んーーーー…








「……いや、そっちに行くよ、夕方前に」


慎「え?ほんと?」


「うん、だから待ってて」









なんも起こらないことを祈るしかないなあ。









慎「…A。」


「ん?」


慎「好きだよ。」


「ん"んっ!?」









あまりにも唐突すぎる甘い言葉に女の子らしからぬ声が出てしまった。









慎「何照れてんの笑」



「いや、だって…!」



慎「ふふ笑 楽しみにしてるね。」



「う、ん。バイバイ。」



慎「またね。」









そして、電話が終わり、慎くんの「好きだよ。」の余韻が凄く、思わず枕に顔を突っ込んで叫んだ。








樹、この余韻が終わるまで待ってて…!!

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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時

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