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# 53 ページ5



















【樹 side】









樹「…んな事言うなら俺はどうすりゃいいんだよ。」


慎「そんなのは自分で決めるものです。」







そう慎に言われた瞬間、俺の中でも何かが切れた。







樹「俺だってな、好きでこんな風になってる訳じゃねえんだわ。Aとずっと一緒に仕事してきて休みもほぼ一緒に居て、隣でアイツの嬉しい顔や悲しい顔、山ほど見てきた。だから、そんな日常が崩れることはないだろうと安心しきってた。それが俺の悪いところだった。」


慎「…はい」



樹「だけど急にお前という存在が現れてから、
Aいきなり乙女になったし…本当に彼氏が好きなんだなって思ったよ。妬みの怒りのせいか、変な噂を信じちゃってAを傷つけた。
正直、また仲良く出来んのかも不安なんだ。
だから、俺は決めたよ。」



慎「はい。」









俺はキッと慎を睨みつけ、







樹「俺はAのことが好きだ。
お前がAのことを思うよりずっと。」







俺は恥じらいもなく心の内を全てぶつけた。


すると慎は微笑み、








慎「っは〜、今まで何回もあったなあ…こういうこと。女の子の元に好きな人がやってきちゃうっていう展開。今回は結構早いなあ〜。」






自分の頭をわしゃわしゃとして、めんどくさそうに言った。

その姿にさらに腹が立つ。





樹「こんなクソみたいなサービスのどこがいいのかさっぱり分からない。だから、お前がAを弄んでんのが腹たって仕方ない。」


慎「俺もこれ副業で、小銭稼ぎとしてやってるわけだし、その子のことが好きな男の子の存在とか知らずにやってるわけだから。俺に罪はないっすよ。」



樹「じゃあやめろよ。」



慎「そう、そういうあんたみたいな存在が
現れたら面倒臭いから俺から辞めたいって言うよ、ちゃーんと。俺からだとキャンセル料取れないから会社には迷惑なんだけどね。」







と、麦茶を一口すする。









慎「…俺よく、人の見る目がいいって言われるんだ。だから人付き合いも丁寧にして、友達も限られた人としか付き合ってない。
でも、Aと会った時、この人絶対いい人だって心の底から感じた。頑張り屋で純粋で真っ直ぐだって。だから俺はこの人と最後まで付き合っていきたいと思った。」


樹「…だから?」








そして慎もこちらを見て、








慎「俺みたいなやつでも恋しますよ。」







そう微笑んで言った。

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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時

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