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樹「Aのこと、好きなやつがそんなこと
聞いて、安心すると思うか。
たかがそんな関係の相手に負けたそいつの気持ちになってみろよ。」
「…樹?」
樹「───悔しいんだよ…。」
そう樹が嘆いた。わざと視線を逸らしてた私もその言葉を聞いて一瞬、樹の方に目を向けた。
こんな弱々しい樹を見るのは初めてで、どうすればいいのか分からず固まった。
樹「…そんなにアイツのことが好きなら行けばいい。今感じたよ、俺はお前の親でも彼氏でもない、"ただの同僚"だっつーことに。」
なんか心が痛かった。
その言葉を聞いて、とても心が痛かった。
私は何も返事をせず、荷物を持って、車を出て、家に帰った。
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ガチャッ___バンッ____
ドアを思わず勢いよく閉めて、自分のベッドに飛び込んで、顔を枕にうずめた。
自分に"恋"は向いてない。
そう重く感じた。
Prrrrrr!!
と、着信が。
重い体を動かしてスマホを手に取ると、着信相手は彰吾先輩だった。
今ちょうど相談したかった相手で良かった。
「…もしもし。」
彰吾「A?もう家帰った?」
「はい…樹に帰らされました。」
彰吾「あぁ…何してんだアイツ。
今日、Aの話全然聞けなかったから、
飲みにでも行こうと思ったけど、無理だな。」
「今そんな気分じゃ無くなりました…」
彰吾「…うん、だよな。大体、この状況で樹と2人でいればなんか起きるのは分かってたよ。
今、休憩時間で周りに誰もいないとこにいるから話してみ?」
そして、私は彰吾先輩に何もかも打ち明けることにした。
ラブ充体験のこと、慎くんの存在のこと。
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「…ってな訳です。」
彰吾「…何してんだ、Aも笑」
「すみません、情けないです。こんな変なサービスにすがってまで彼氏を欲してしまう自分が。」
彰吾「まあ犯罪じゃないからいいんだけどさ、
それにAが"体売ってる"ってのが嘘で尚更良かった。」
「…え?
そのワードを聞いた瞬間、私は固まった。
彰吾「え、それ樹から聞いてないの?!
樹、Aがそーゆーのに手出してるって思ってんだよ。」
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作者名:てん | 作成日時:2020年3月22日 6時