思い出 12/31更新 ページ13
ぐいぐいと腕を引っ張られ、足がよろめく。そんなに急ぎで話すことがあるのか。
ま「どっち?」
校門からの分かれ道のことだろう。本当は右だが、家バレを避けて左と答えた方がいいな。
『左です』
ま「りょーかい」
校門を出て、左に曲がる。本来の帰り道とは約5分遠くなるが、それでも家バレを避ける為だったら手段を選ばない。
ここの道を通るのは2回目だが、いつもの道と風景が変わらないのでつまらないな。
『それで、話って何です?』
ま「えーとね、学園祭の実行委員の事なんだけど」
学園祭……か。もうそんな季節になったのか。
学園祭にはいい思い出が無い。いい思い出どころか、記憶が無いのだ。まぁ、記憶が無いということは、楽しくなかったという事だ。でも、嫌な思い出程、ひょんな事ことから思い出すものだ。
小学生の時、全校で協力して作り上げる物は面倒で端っこで突っ立っていた。
中学生の時は、よく本気で取り組めと言われていた。しかし、劇では1番楽な仕事に就き、自分の仕事を終わらせたら残りの期間はサボっていた。
体育祭は、私のクラスが優勝を逃し、クラスの殆どが泣いていた。女子に至っては全員だ。普段泣かなそうなあの子でさえ。
しかしそれは、私を除いた女子全員の事だ。私には、負けたからって何が悲しいのかわからなかった。
閉会式の後、「Aちゃんってクラスのこと思ってるの?」と、泣いていた為、声を震わせながら聞かれた。その時、嘘を吐くのも嫌だったため、「うん」と答えた。
その後、その子からビンタをくらった。クラスの中心にいる子だから、その取り巻きの子達にもいろいろ言われた。
だからというか、元からなのだが、頑張るとか、気合いとか、本気とか。応援する、される言葉が大嫌いな私にとって、“学園祭”なんて反吐が出そうなイベントだ。
『実行委員はやりませんよ』
ま「やっぱそう言うと思った。でもね、そんなにAちゃんに朗報。今年は何と、クジで決めまーす!」
『はぁ』
ま「もし、やりたいって言ってたら会長さんに話つけてたし、僕も立候補してたからね」
『そうですか』
ま「えぇ!もっと驚いたり、有り難いとかそういうの欲しかった!」
欲しかったなんて言われても、そうですかとしかならない。
というか、私はこれだけの為に一緒に帰ってるのか。ただ、嫌な思い出が蘇っただけじゃないか。あの時の判断は何だったんだ。コイツもだが、私もただの馬鹿だ。
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ミミ - 面白い作品に出会えて嬉しいです!更新大変でしょうが頑張って下さい!応援してます。 (2019年10月27日 22時) (レス) id: f690071450 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年8月9日 11時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - 海さん» 返信が遅くなり、誠に申し訳ありません。更新が遅いですが、これからも見て下さるとありがたいです。励みになるコメント、ありがとうございます。 (2019年6月1日 14時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - いつも楽しく読まさせてもらってます!とっても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年4月3日 18時) (レス) id: ba67b17bbf (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - モモ缶。さん» ありがとうございます!実は最後の展開は少しずつ話に出しています。 (2018年11月28日 22時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜貝 | 作成日時:2018年9月11日 7時