誘い ページ1
夏のとある日曜日のこと。
クーラーの効いた部屋で怠けている訳でもなく、貯まっていた紙の山を片していた。
閉めたカーテンの隙間から放出される日光が、たまに目にかかることだけが難点だ。
片付けが半分まで行ったところだろうか。住んでから一度も役割を果たしていないインターホン突然鳴ったのは。
マンションは知ってても、部屋を知っているのはアイツだけだ。もう1つ思い当たる節はあるが、それは絶対に有り得ないだろう。
玄関の覗き穴を覗くと、見慣れた姿があった。
よっぽどの用がなければ来ない筈だ。一体何の用なのだろうか。
玄関を開け、見慣れた姿に問いた。
『一体何の用だ。キヨ』
キ「いやー、部屋のエアコンが壊れちまってよー」
こちらの了承も得ずにズカズカと入っていくキヨ。コイツ……
キ「相変わらずお前の部屋は汚ねぇなー」
『おい、何でそんなバレバレの嘘を吐く必要がある』
キ「あ、バレた?」
キヨは悪戯をした子供のような笑みを浮かべていた。一体その笑みの裏には何が隠されているのだろうか。
『エアコンなんてお前1人で直せる筈だ。わざわざ私の所まで来る必要は無いだろ。それに、許可も得てないのにズカズカと入り込んで、人の部屋にケチ付けやがって。……何を隠している』
キ「こうでもしないと部屋に入れてくれないだろー」
『当たり前だ。よっぽどのこと以外は』
すると、キヨは私の目の前に2枚の紙切れを出してきた。
キ「それがよっぽどなこと何だよなー」
紙切れには
【カップル限定でご招待!!〇〇プール招待券】
と、書かれていた。
『何これ……』
キ「見りゃあわかるだろ?プールだよ、プール!」
『そんなの1人で行けばいいだろ』
キ「ここに“カップル限定”って書いてるだろ!」
『お前とは付き合っていない。その辺の女子を誘ったら行けるだろ』
キ「いやー……恥ずかしいじゃん?」
『急に人見知りを出すな』
プールなんてしばらくどころか、何年も行ってない。
あんな人混みの中を行くのも嫌だが、絶対に家の方が涼しいのに、わざわざ水遊びをしているのかわからない。それに、日焼けもするし。
キ「な、頼む!」
『やだ。焼けるし』
キ「そんなの長袖とか着てればいいだろ!それに、一緒に来るだけでいいんだから入らなくてもいいし!」
……まぁ、確かにそう考えると焼けずに済むな。
『これ』
キ「え?」
『これ全部やってくれるならいいよ』
そう言って、私は紙の山を指した。
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ミミ - 面白い作品に出会えて嬉しいです!更新大変でしょうが頑張って下さい!応援してます。 (2019年10月27日 22時) (レス) id: f690071450 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年8月9日 11時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - 海さん» 返信が遅くなり、誠に申し訳ありません。更新が遅いですが、これからも見て下さるとありがたいです。励みになるコメント、ありがとうございます。 (2019年6月1日 14時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - いつも楽しく読まさせてもらってます!とっても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年4月3日 18時) (レス) id: ba67b17bbf (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - モモ缶。さん» ありがとうございます!実は最後の展開は少しずつ話に出しています。 (2018年11月28日 22時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜貝 | 作成日時:2018年9月11日 7時