88．「邪魔者」 ページ2
JN side
届いた料理をAの取り皿へとよそってあげる。Aは話をやめて黙ったまま手元を見つめている。
「ん？」
『…ジェノは優しいね』
Aが言った「なんもないよ」に口では納得したような相槌を打ったけど、何かあったのなんて聞かなくてもわかるくらい明白だ。だから聞かなかった。
こうやって深く追求しない俺のことをAは優しいというけど、そうじゃない。
ただただ臆病でずるいだけだ。
Aが他の人のことで悩んでいる話なんて聞きたくないだけ。
ドンヒョクはAが好きで、Aはドンヒョクが好き。
二人はずっと両思いで、俺の付け入る隙なんて最初から一ミリもなかった。俺はただの邪魔者。
わかってる。わかってるのに、どうして諦められないんだろう。
諦める気がないならジェミンみたいに当たって砕ければいいのに、それすらも出来ない臆病者で、でも、こんな聞きたくない話を聞きながらでも隣にいられる方が幸せだと思う愚か者だ。
『今日は本当にありがとう』
「ううん」
『また遊びに行こうね』
「うん、次はどこ行こうか」
『みんなで遊園地とか行きたいなあ』
「いいね、計画立ててよ」
『そういうのはロンジュンに任せよう』
お店を出て歩きながら話すAは最初に会った時よりは元気になったようでホッとした。
どんな顔をしていても可愛いと思うけど、やっぱり笑っている顔が一番好きだなと思う。
ゆっくりと歩いたつもりだったけど駅につくまでの時間はあっという間で、帰るための電車は逆方向。
Aと二人でいる時間はただでさえ少ないのに、そんな貴重な時間も授業の退屈な時間の倍くらいのスピードで過ぎていく。
「家まで送るよ」
『まだ暗くなってもないし大丈夫だよ』
「でも」
『逆方向でしょ、ジェノが帰るの遅くなっちゃう』
「別に平気だよ」
『大丈夫だって〜！』
「そう？」
そこまで言われてしまうと引き下がるしかない。
駅前はいつも通り騒がしくてここにずっといるのも他の人の迷惑になってしまう。
もう少しだけでもいいから一緒にいたいと思っているのは、当たり前に俺だけで胸がぎゅっと掴まれたように痛い。
『じゃあまたね』
「うん、連絡してね」
『はあい』
「…A、」
『ん？』
「なんでもない、またね」
『？またね』
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ロク(プロフ) - 奈胡（元jen）さん» ありがとうございます🥹！私もこんな学生生活送りたかったなと考えながら書きました😩笑 スピンオフも気長にお待ちいただけたら嬉しいです〜！ (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ロク(プロフ) - ゆかりさん» ありがとうございます🥹完結までに時間がかかってしまいましたが読んでいただけて嬉しいです〜！ドンヒョクとの話考えておりますので更新お待ちください ˆᴗˆ (4月16日 3時) (レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
奈胡（元jen）(プロフ) - 完結おめでとうございます そしてお疲れ様でした！こんな優しいイケメン4人に囲まれる人生送りたかったー！スピンオフ楽しみにしています (4月15日 2時) (レス) @page19 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結おめでとうございます！本当に大好きな作品で、更新される度ワクワクしながら読ませていただいてました。ドンヒョクと主人公の雰囲気や関係性がとても好きなので、ドンヒョクとの番外編も読みたいです！ (4月14日 11時) (レス) @page19 id: f5ce26c2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロク | 作成日時：2024年3月21日 3時
