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「なんだよ、その顔、泣くぞ」
「えっ」
「冗談だって〜、ごめん、困らせて」
拒むことも受け入れることもAはしない。
ここにいる限り、Aは俺のものにはならないけど、
その代わり他の誰かのものになることもない。
ここから2人で逃げ出せばAは俺だけのものになる。
でも俺にはまだ手に入れたいものは他にもあって、
もうAのために全てを手放すことが出来なくなってしまった。
Aを1人にするくらいなら、
今のままで、苦しくても辛くても手に入らなくてもそれでもいいから、ずっとここに、
ずっとここで一緒にいたいんだよ。
「ごめんって。そんな困った顔しないでよ」
「だって……………」
「分かってるから、全部。時々こうやって暴走しちゃうけどさ。許してよ。あーヘチャン疲れてんだって思ってくれたらそれでいいから」
「…」
「それとも？仕方なく俺と付き合ってくれる？」
「そんな事…」
「しないよね、そんなこと。わかってるって。だからたまにこうやって甘えさせてよ」
「……………」
「そこ冗談でも“うん”って言ってほしいところだけど」
「ごめん」
「はい！謝らない」
別に今だけでも嘘でもいい。
「ドンヒョクと付き合うよ」って言ってくれたらそれだけでいい。
それくらい好きなんだ。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年12月25日 22時
