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テヨンは腰に回った手を上に移動させ、手触りを確かめるように優しく帽子に触れる。
あれ、と不思議そうな声が頭の上から聞こえた。
帽子からはみ出た髪が見えたかも。
パッと身を離したテヨンが帽子を外して、大きな瞳をさらに大きくする。
「え、髪の毛明るくなってる」
「ふふふ」
「あ！爪も変わってる」
「どう？」
「すごくかわいい」
「テヨンに褒められたくてイメチェンしたの！」
「Aはなんでも似合うね」
「嬉しい、照れる、もっと褒めて」
「本当に似合ってる、めっちゃかわいい」
そう言って私の髪に優しく触れる大きな手。
その手を掴むとびっくりした顔をした後、まんまるの瞳をふにゃりと緩める。
テヨンは何でもない日に
「これAに似合うと思って」「Aににてる」「Aが好きそう」「Aと食べたかったから」
とか何でもない理由でプレゼントをくれたりする。
そのたびに自分がどれだけ大切にされているかと思い知る。
同じだけの気持ちを返したいなっていつも思っているし、テヨンのためにもっと可愛くなりたいなっていつも思っている。
ちゃんと伝わってたらいいな。
「今日はずっと手繋いでてね」
「ずっと？」
「うん、離しちゃだめだよ」
「トイレとかどうするの」
「一緒に行く」
「え〜？へへ、大変だ」
ぎゅ〜と力を込めてみると、痛いよと楽しそうに笑う。
離したくないし、離れたくないの。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年12月25日 22時
