🦊○獣にはなれずじまい ページ11
RJ side
○リクエスト ロンジュンの話
Aが帰ると言っていた時間はとっくに過ぎていて、何度電話を鳴らしても出ないし、送ったメッセージには読んだ形跡がない。
苛立ちを抱えながらお風呂に入って寝る準備を整える。
日付が変わる少し前に、Aはヤンヤンに抱きかかえられるようにして帰ってきた。
そんなAを見て更に苛立ちが募る。
「ごめんねロンジュナ、テンヒョンが飲ませ過ぎた」
「いいよ、どうせAが飲むって言ったんだろ」
ありがとう、お礼を言うとAを俺に手渡す。
ほぼ全体重をかけて寄りかかったAは自分ではもう立てないようで、ヤンヤンがいて良かったなと思った。
ヤンヤンは学生からの付き合いで、社会人になったというのに自由な社風のおかげなのか、相変わらずの明るい髪色に俺が絶対に着ないデザインの服。
「今度ロンジュナも一緒に飲み行こうよ、テンヒョンが会いたいって」と言って帰って行った。
「やんやーん、ばいばい〜」
それにしてもまだヘラヘラ笑ってるAに腹が立つ。
呑気に笑う顔を見て溜息をひとつついた。
少しAの顔が歪んだ気がしたけれど見ないフリをして、このまま置いて寝ようかと考える。
ぼおっと遠くを見つめたまま動かなくなったA。
仕方ないから上からポイポイと脱がせて、キャミソールと下着姿にした。
「化粧落としてきなよ。お風呂は朝入んな。俺先に寝るから」
と背中を押しAの服を手にしたまま気にせずに寝室に入る。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年12月25日 22時
