53.「おとなになったらけっこんしようね」 ページ7
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「おとなになったらけっこんしようね」
「ずっとずっといっしょにいようね」
「Aちゃんだいすき」
「わたしもドンちゃんだーいすき」
お祭りのくじ引きでドンちゃんが引いたおもちゃの指輪は今よりもっと小さかった手には大きくて、指の間をすり抜けていってしまった。
遊びに夢中になって無くしたことに気づいた私は、帰り道に大泣きして自分の家族もドンちゃんの家族も困らせた。
そんな私にドンちゃんは
「つぎはほんものあげる！」と言った。
ねえ、ドンちゃんはもう忘れちゃったのかな。
ねえ、ドンちゃん。
.......
………あれ、わたし何してたんだっけ。
あ、そうだ、今日は球技大会だったのに、風邪ひいて学校休んだんだった。
せっかくマク先輩とジェノにバスケを教えてもらったのに無駄になっちゃった。
そういえば夢を見てた気がするけど、何だっけ。
うーん今何時なんだろう。
ぼやけた頭がふわふわしていて、体も浮いていくような気がする。
枕元に置いているスマホを探したけれど見当たらない。
部屋の扉が開く音がして視線を動かすと、ぼやけた見慣れた部屋の中にドンちゃんがいる。
「A」
と名前を呼んで、心配そうな顔でわたしの手を握って、もう片手で私の頭を撫でる。
「起きた？大丈夫？」
あ〜まだ夢の中だ。
だって、ドンちゃんには彼女がいるから私の部屋に遊びに来ることなんてないもん。
幼なじみは再開したけど、それはマクヒョンと三人の時だけだし。
「まだ熱下がってないな」とおでこに触れた左手が冷たい。
感覚まであるなんてリアルな夢だなあ。
『ドンちゃん』
「ん？」
『、ドンちゃん』
「どうした？」
『すき』
「うん」
『大好きなの。…ずっとここにいて。どこにも行かないで』
好きだと言葉にするたびに涙が出てしまうけれど、これは夢だから別にいいでしょ。
ドンちゃんは苦しそうな顔をして「ごめん」と言った。
頬に流れる涙は熱くて、それ拭うドンちゃんの指先は現実みたいに冷たい。
これは夢なのにそう簡単に上手くはいかないみたい。
都合の良い夢だったらよかったのに。
せっかくなら甘ったるいだけの夢にしてほしい。
「俺もだよ」って手を取って抱きしめて、
「Aだけでいい」とかそんなことを言ってくれればいいのに。
これ以上何も見たくなくて目を閉じると、頭の奥のほうで扉が閉まる音が聞こえた。
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ロク(プロフ) - ゆさん» 返信出来ておらず申し訳ありません…😭完結したので最後まで読んでいただけてたら嬉しいです🥺 (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - いつも陰ながら楽しませていただいてます！今回のお話もたくさんキュンキュンしました~^^これからも応援しています！ (2023年3月16日 9時) (レス) id: a3a66f07ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロク | 作成日時：2022年7月18日 9時
