65.「知ってた？」 ページ19
JN side
「文化祭誰と回るの？」
『約束はしてないけど、1日目はロンジュンと当番が一緒だからそのまま一緒にいるかも』
「そっか」
『ジェノは？ジェミンと？』
「ううん、ジェミナは人混み嫌だから当番以外は来ないって」
去年の文化祭は楽しかったけど、こんなもんかという感想の方が大きかった。
1日目はイベントに感化された人たちに捕まって見たいところもまともに見れなかったし、一般公開される２日目は動くたびに人に囲まれて身動きも取れなかった。
ジェミンは去年で懲りたんだろう。
俺も同じで、1日目に当番をまとめてもらったから２日目は片付けの時間に来ればいいようになってる。
Aはジェミンが来ないことを知らなかったのか首を傾げて不思議そうな顔をしている。
『あれ、去年もそうだった？』
「そうだよ」
『知らなかった』
「Aは知らないよ」
『なにそれ〜』
「去年はドンヒョクのことしか頭になかったもんね」
『…そんなことないよ」
下手くそに話を逸らして下手くそな笑顔で「そういえば今日ジェミンがね」と話す横顔は少しだけ嫌い。
なんでもない顔をして頷いているけど、心の中は違うことでいっぱいで、
気づいたらAの最寄駅に着いていた。
名残り惜しくて一緒にホームへ降りると、「今日は寄るところがあるから送ってくれなくて大丈夫」と先手を打たれてしまった。
『ジェノ明日はいつも通りの時間？』
「ううん、一本早いかも」
『じゃあ起きられたら一緒に行こうね』
「頑張って起きてよ」
『どうかなあ』
もしドンヒョクがそう言ったならAはいつもの何倍も早起きをするんだろうな。
そんなこと思いたくないのに、真っ黒な感情が心を塗りつぶしていく。
「…ドンヒョク、彼女と別れたらしいよ」
『え、そ、そうなんだ』
「知ってた？」
『ううん、知らなかった』
こんな話するつもりはなかったのに、どうして言ってしまったんだろう。
Aは一瞬だけ暗い顔をしたあと、何でもない顔をして「またね」と言い、背を向けて歩き出した。
後ろ姿を眺めながら、なんて馬鹿なことをしてしまったんだろうと後悔ばかりが頭を埋めた。
.
66.「ジェノが言ったんだよ」→←64.「恋をしてから知った」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1472人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロク(プロフ) - ゆさん» 返信出来ておらず申し訳ありません…😭完結したので最後まで読んでいただけてたら嬉しいです🥺 (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - いつも陰ながら楽しませていただいてます！今回のお話もたくさんキュンキュンしました~^^これからも応援しています！ (2023年3月16日 9時) (レス) id: a3a66f07ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロク | 作成日時：2022年7月18日 9時
