57.「彼女と別れるよ」 ページ11
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雨の音で目が覚めた。
スマホで時間を確認すればアラームが鳴るよりもだいぶ早い時間だった。
雨って降ってるだけで憂鬱だし、髪の毛は広がるし、いいことがない。
二度寝をしようと瞼を閉じても覚めてしまった眠りにもう一度落ちていくことが出来ず、
準備をしようと起き上がる。
RJ今日の放課後文化祭のこと決めるって
わすれてた!
ロンジュンありがと!
ネイビーに小さな星の柄が入った傘は、
よく傘をなくす私にドンちゃんがいつかの誕生日にくれたものだ。
「無くしたら怒るぞ」
と言って手渡されたこれは私にとって絶対に無くせない宝物になった。
使うのがもったいなくて、いつもビニールの透明な傘を使っていた私に拗ねた顔をして
「なんで使わないの」と聞いてきたドンちゃんのことを昨日のことのように思い出せる。
こんなこと覚えていても何の意味もないのに。
傘を開いたところで、特徴的な高い声が私の名前を呼ぶ。
HC「A」
『え、あ、おはよう』
HC「………」
『…何？』
聞いてもドンちゃんは何も言わない。
微妙な沈黙が気まずくて、傘がぶつかって歩きにくい。
歩くたびに地面の雨が足首に跳ね返って冷たい。
さっきまでロンジュンと連絡を取っていたからか、
不意に少し前に一緒に帰った日のことを思い出した。
あの日、ロンジュンは狭いとか天気予報くらい見ろとか文句を言ってたけど、しっかり私の家まで送ってくれた。
それに私の方に傘を傾けてくれていたせいで、私よりも広い肩はびしょ濡れになっていた。
「風邪ひくなよ、早く家入れ」と急かされたからちゃんとお礼も言えてなかった気がする。
次の日に言おうと思ったのに、結局言えてないままだ。
今更言うのもおかしいな。
もしロンジュンが傘を忘れた日があったら対価なしで入れてあげよう。
HC「俺さ」
『うん』
HC「俺、彼女と別れるよ」
『………なんで私に言うの』
HC「Aには知っててほしいから」
『、なんで？』
大きな傘に遮られてたせいで、ドンちゃんの顔は見えなかった。
彼女と別れるってなんでそんなこと私に言うの。
急にそんなこと言われても困るよ。
「転ぶなよ」
ってそれしか言わないで、また先に行っちゃうなんて
やっぱりドンちゃんはずるい。
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ロク(プロフ) - ゆさん» 返信出来ておらず申し訳ありません…😭完結したので最後まで読んでいただけてたら嬉しいです🥺 (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - いつも陰ながら楽しませていただいてます！今回のお話もたくさんキュンキュンしました~^^これからも応援しています！ (2023年3月16日 9時) (レス) id: a3a66f07ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロク | 作成日時：2022年7月18日 9時
