32.「そんなに寂しいの」 ページ32
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青い空に白い雲、眩しい太陽が水面にキラキラと反射して目を攻撃してくる。
さっきまで海にいたけど、さすがに少し疲れてしまい、休憩をしようと砂浜へと上がってきた。
そもそも海に入る気がなかったジェミンは一人でどこかへ行ってしまったみたい。
ジェノとロンジュンのはしゃぐ声が聞こえてくるけど、二人は何をやっているんだろうか…。
お互いを沈め合っているように見えるけど、ジェノにロンジュンが勝てるとは到底思えない。
ロンジュンは私に子供っぽいとか言うくせに自分だって勝てない戦いを挑むあたり子供っぽいと思うけどどうなんだ。
まだ戦っている２人を眺めながら思い出すのは、ドンちゃんがいた去年の夏のこと。
HC「誰もお前の水着姿見たくないから着とけ」
『ドンちゃんひどい』
JM「Aが可愛いから心配なんだって」
『ドンちゃん…！やっぱりだいすき』
RJ「単純なやつ…」
『なんだと！』
JN「A、ちゃんと着な」
『う、ジェノもドンちゃんみたいなこと言うの？』
JN「違うよ、A日焼けすると痛くなるって言ってたじゃん」
『ドンちゃんとロンちゃんはジェノを見習ったほうがいいよ！』
RJ「なんで俺もなんだよ」
昨日のことのように鮮明に思い出せるのに、今では幻だったようにも思えた。
あの日はドンちゃんのシャツを着ていたのに、今日は自分の薄いパーカーを羽織っている。
海の家のやきそばの味も海の色も砂浜の熱さも何も変わっていないように感じるのに、
あの日聞こえていた笑い声だけはもうここにない。
頬に冷たいものがくっついて意識が現実へと戻る。
『え！つめた！』
「だーれだ」
『じぇ、ジェミン！どこ行ってたの』
「Aにジュース買ってきた」
『ありがと、あ！これ私が好きなやつ』
「ドンヒョクのこと考えてたの？」
『違うよ』
「Aはドンヒョクがいないとそんなに寂しいの？」
『、そんなことないよ』
「最近のAはうそつきだね」
『嘘じゃないよ』
「ここに、ナナもジェノもロンジュナもいるのに」
ジェミンの黒い瞳はすべてを見透かしているような気がして思わず目を逸らしてしまった。
ジェミンはあの体育祭の日から今までと同じように接してくるから、あれは冗談だったんじゃないかと思うけど、
ジェミンの目を見るとやっぱり本当だったんだと思う。
だからといって返事を求められていないんだからどうすることも出来ないんだけど。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年5月8日 2時
