25.「好きな子」 ページ25
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借り物競争に出るジェミンにここで応援しててと言われた場所で、ジェミンが出てくるのを待つ。
どんなお題にも対応できるように、右手にうさぎのカチューシャと眼鏡を持ってきた。
『どんなお題かな』
RJ「体育委員のジェノは知ってるんじゃないの？」
JN「色々あったよ、サングラスとか可愛い先生とか」
RJ「へ〜、物だけじゃなくて人もあるんだ」
『可愛い先生ならテヨン先生一択だね』
雑談をしているうちにジェミンの出番になったみたいだ。
勢いよくスタートする周りから一歩遅れてゆっくりと走り出した。お題を手に取ったジェミンは一瞬考え込むように止まって、私達がいる方に向かってくる。
お、もしかして眼鏡かな。
JM「A」
『え？！』
RJ「は？」
突然ジェミンに手を引かれて私に合わせてゆっくりしたペースで走る後を必死に追う。
他の生徒の注目を集めているのが嫌でも分かるし、冷やかすような声も聞こえる。
ジェミンが何を引いてもいいように待機してたけど、まさか自分が連れていかれるとは思っていなかった。
やっとのことでゴールに辿り着いて、たった数十メートルの短い距離だったにも関わらず、
しっかりと上がった息を抑え込む。
「さて、ナジェミンさん、お題はなんでしょうか」
JM「好きな子です」
ジェミンが普通の顔をして言い切ったと同時に校庭は一気に騒がしさを増す。
返事はー？とどこからか聞こえたけど無視することに決めた。
これはそういう好きじゃないと思うし、好きな子がいないから仲の良い女友達の私を連れて来ただけだと思う。
うん、きっとそうだ。
順位発表が終わり次の組が準備を始める。
「戻ろっか」といつもと変わらない笑顔で、手を繋いだまま歩き出すから周りからは更に歓声が沸く。
それがどうも居心地が悪くて手を離したけど、ジェミンは何も言わなかった。
少し歩いた先でジェミンを呼ぶといつもと違って真剣な顔をして私を見つめる。
JM「冗談でも、友達としてでもないよ」
『え』
JM「女の子としてAのこと好きだから選んだの」
『えっと、でも』
JM「答えが欲しいわけじゃなくて知っててほしいだけだから」
『、うん』
「あいぐ〜」
と私の頬を掴むジェミンには真剣な眼差しはもうなくて、
さっきの言葉が嘘のように感じるのに、
頭の中で何度もジェミンの低い声が反響していた。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年5月8日 2時
