青春はサイダーのように (ページ9)

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９．「あなたしか見えない」ページ9

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『先生、持ってきました～』

TY「ありがとう、そこ置いといて」

『ねえ先生、ここでごはん食べてもいい？ついでに内緒話も』

TY「いいよ、珍しいね」

先生はやることがあるのか忙しそうにしている。

テヨン先生のことを怖いと思ってたのは最初だけで、

先生が受け持つ部活の生徒に揶揄われて困り顔をしているところを見て印象が180度変わった。

真顔はかなり厳しい顔をしているのに、困ったり笑ったりしている顔は可愛い。

先生に向かって可愛いって言うのもおかしいけど。

『突然だけど先生って運命信じる？』

TY「そういう話か、割と信じるかなあ」

『…私ね、この人しかいないって思ってたし、運命だと思ってたのに違ったの』

TY「そうなの？」

『うん、その人には彼女が出来ちゃった。私はどうしたらいいんだろう』

TY「あなたしか見えないってよく言うでしょ？でもあなたしか見えなくなるまで近づくと、あなたすら見えなくなっちゃうんだって。Aはもしかしたら今までそうだったのかもしれないね」

『大人になったらそういうのなくなる？』

TY「大人になっても恋は難しいものだよ」

『うーん、でも大人になったら少しは変わるのかな』

TY「無理に大人になる必要はないけど、自分がそうしたいって思うならもう少し周りを見てもいいんじゃない？」

『周り～？』

TY「ジェミンとかロンジュンとか、隣のクラスの子とか」

『うーん………』

ジェミン、ロンジュン、それとジェノ…？

言われてみれば私の世界はいつだってドンちゃんが中心に回ってきた。

３人ともドンちゃんの友達だし、

そういえば私の友達ってドンちゃんとの共通の友達しかいないかも。

そう思うと途端に自分の世界が狭く感じる。

TY「焦る必要はないよ、まだまだ若いんだし」

『……先生おじさんみたい』

TY「え？！相談のってあげたのにそういうこと言うの？」

『先生ありがと！今度お菓子あげるね』

TY「先生はお菓子じゃなくて授業中起きててくれるのがいいな」

『寝てたのバレてた？』

TY「ばれてないと思ったのが不思議なんだけど」

『次から頑張って起きる』

TY「期待しないでおくね」

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