ビジョンの時間(5) ページ5
殺せんせーが墜落した先には、シロとイトナが待ち構えていた。
雪目は気を失っており、それを先生は心配していた。
「さぁ、どちらが強いか決めようか。兄さん」
そう言い、2人の対決は始まった。
*
「おいっ！雪目しっかりしろ！」
「Aちゃんっ！！！」
なおも目を覚まさない彼女に、救われた吉田は頬を軽く叩く。
何名かの女子生徒もお腹を押したり頭を下に向けさせて体の中から水を吐き出させる。
そこにやって来たのはカルマだった。
「ねえ、A、ほんとに意識ないわけ？」
「カルマくん…」
もちろん、反応などない。
「神崎さん、ちょっと代わって」
「はい…」
「結構、水は吐き出せた？」
「えぇ。ある程度は出せたと思うわ」
全員がすがる思いで彼を見る。
彼女に助けられた生徒は心配と不安で目に涙を溜め、泣きそうだった。
すると、全員の前でカルマが人工呼吸としてキスをする。
不謹慎だと思いつつも、全員、心が踊っていた。
人工呼吸、そして心臓マッサージ。
『っ…げほっごほっ…おぇ…なんか吐きそう』
「〜っ！雪目！！」
私が目を覚ますと、何故か吉田くんが抱き着いてきた。
『吉田くん！半裸！きもいって！』
「す、すまん！でも、俺お前がいなかったら死んで…でも、お前も俺のせいで死んだかと思って…！」
全員がいつもの様子の私に胸を撫で下ろす。
そして、安心したかのような私の彼氏さんも
「A。目覚ましてほんとに良かったよ」
そう言って、頭を撫でて抱きしめる。
若干、体が震えているのは凄く心配してくれた証拠なのだろう。
私もその体温の暖かさに身を委ねてしまった。
そして、安堵した皆は殺せんせーの方を向き直す。
体制がかなり押されているのだ。
いつの間にか寺坂くんは下りてきていて、下を見ていた。
先生が押されているのは皆を助けたから、そして頭上にいる原さんや上に引き上げられなかった村松くんを庇いながら戦っているのだと。
そして、寺坂くんはすみれちゃんに向かってヘビーだの太ましいだの失礼なことを言っていた。
「お前まさか、あいつらに操られてたのか！？」
磯貝くんが同情の目を向ける。
「あぁ。そうだよ。
だがよ、操られる相手くらいは選びてぇ。奴らは懲り懲りだ。…だからカルマ。テメェが俺を操って見せろや。
その狡猾なおつむで俺に作戦与えてみろ。完璧に実行してあそこにいるのを助けてやる！」
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
