渚の時間(3) ページ34
私が視線を向けた先には潮田くん。
そんな潮田くんは、壊された治療薬を見ていた。
「ヘリを呼んだから、君達はここに待機だ。俺が毒使いの男を連れて来る。」
そう言って、烏間先生は来た道を戻ろうとする。
「ハッ！テメェらに薬なんざ必要無え！」
そう言うは、ここに来るまでに倒した3人の殺し屋。
生徒は全員、武器を構えた。
「お前らの雇い主はもう倒した。
俺も回復し、生徒達も皆強い。不毛な争いはやめないか」
「あぁ。いいよ」
「諦めわりー…え？いいよ？」
烏間先生の提案に簡単に乗る殺し屋。その素っ頓狂な返事に全員があっけらかんとしていた。
「ボスの敵討ちは契約に入って無え！それに言っただろ？お前らに薬は必要無いって！」
「お前らに盛った薬は、あと3時間は猛威を奮うがその後一気に沈静化する」
「危ない薬を使う前に、3人で話し合ったぬ。この薬を使わなくてもボスの意向には添えるぬ」
「お前らが命の危機を感じるには十分だったろ？」
なんて、朗らかに笑う3人には殺し屋としての恐ろしさなんて1ミリも感じられなかった。
「命令に逆らったってこと？お金もらってるのにいいの？そんなこと」
「アホか。クライアントの意に沿うことは最善だが、ボスは端から薬を渡す気はなかった。
堅気の中学生を大量に殺した虐殺犯かプロとして評価を下げるか、俺等の今後のリスクに冷静に秤にかけただけだ。」
毒使いの男は潮田くんに向かって薬を一瓶投げた。
"患者に飲ませな。倒れる前より元気になったなんて言われる"とユーモアを混ぜながら。
一通り話が終わると、ヘリコプターが到着する。
大人しく3人はヘリに乗り込む。
「なぁんだ、リベンジマッチやらないの？おじさんぬ」
「俺は私怨で殺しはしないぬ。誰かの依頼があれば殺しに行くぬ。それくらいの人物になるぬ。」
両手に香辛料をたっぷり持ったカルマの頭を撫で、優しく諭す殺し屋。
「そういうことだ。ガキ共。
殺してほしけりゃ偉くなれ。そん時はプロの殺し屋のフルコースをお見舞いしてやるよ！」
彼らは殺し屋として、人としてとてつもなく寛大だった。
尊敬の意を持った私は彼らが飛び立つと共に軽く頭を下げた。
そこから私達もヘリに乗り込み、ホテルに戻る。
全員が無事であることを伝え、その日はすぐに全員が疲れですぐに就寝した。
私は、というと_
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
