××の時間(7) ページ31
しばらく、カルマと2人きりで抱き合って、見つめ合って、お互いにキスをする。
手を握り直し、私は口を開いた。
『見たでしょ？黒幕の正体』
「あぁ。見たよ。」
『鷹岡は、潮田くんが大本命の目的だったの。
私はもう大丈夫、皆のとこに戻ろう？』
「渚くんにねぇ…うん、戻ろう」
そう言って、最後に強く抱きしめられ、私達は部屋を後にした。
*
屋上に着くと、そこには冷静ではない鷹岡と怯えきっているクラスメイトがいた。
「屈辱の目線と騙し討ちで突きつけられたナイフが頭ん中ちらつく度に、痒くなって夜も眠れなくてよぉ！
受けた屈辱はそれ以上で返す！特に潮田渚！！」
「完璧な逆恨みじゃねーか」
「へぇ〜渚くんは恨みを晴らすために呼ばれたわけ？その体格差で勝って嬉しい？俺ならもっと楽しませるけど？
Aのこともあるし」
そう言って、一歩前に出るカルマの後ろにいる私に気付いた皆は泣きそうな顔をしていた。
「へぇ。雪目は誰も殺さずに無事だったわけねぇ。そのまま殺っても良かったのに」
『何度も殺ろうとは思ったよ。でも、その度に先生の顔がチラつくのよ。私が殺っていいのは殺せんせーだけだって』
「雪目さん…」
私の殺人と身体の流出によって、社会的抹殺を考えていた鷹岡の目論見は崩れていた。
「まぁいい。チビ。お前一人でヘリポートに上がってこい」
「渚。行ったらダメ」
「行きたくないけど、行くよ。
冷静に話を合わせて、治療薬を壊さないようにしてもらってくるよ」
そう言う潮田くんは、少しの恐怖と好奇の目をしてヘリポートへ登って行った。
全員が、彼の後ろ姿を心配そうに見届ける。
彼がヘリポートに登ると、鷹岡はその階段を破壊した。
これで誰も2人の邪魔はできない。
「謝罪しろ。土下座だ」
鷹岡が開口一番に要求したのはそれだった。
「実力が無いから奇襲したことについて、誠心誠意な」
なんとも大人げないその一言に潮田くんは土下座の体勢をとる。
「…僕は実力がないから卑怯な手で奇襲しました。ごめんなさい」
そう謝る姿に全員がどうしようもない怒りが湧き上がる。
それでもなお満足しない鷹岡はついには潮田くんの頭を踏みつけ、さらに謝罪を要求し、潮田くんはそれに従う。
それによって気分の良くなった鷹岡は続ける。
「ウイルスによって死ぬやつは、全身デキモノだらけ。
顔はブドウのように腫れ上がるんだ。くくっ、笑えるだろ？」
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
