××の時間(5) ページ29
それでもなお倒れずに銃を構えた男の銃を撃ち抜く凛香。
男は、撃たれた銃を拾おうと歩くも限界が来て倒れる。
「よっしゃ！行くぞ！」
倒れたのを合図に、寺坂を始めとした男子達は男を拘束し始める。
額を撃ち抜かれた12番。
それは菅谷によって作られた、人形だったのだ。
「カルマくん夏休み前に雪目さん取り合ったんだね」
「渚くん、それ今後禁句ね」
「なんでっ！？」
男を倒した皆は盛り上がり、凛香と千葉はハイタッチを交わしたのだった。
「渚くん、雪目さんは大丈夫ですか？」
殺せんせーの言葉にまたしても場が凍る。
渚はポケットにしまっていたスマホを取り出し、動画の更新マークを押す。
「なっ、なんか雪目さん脱いでるんだけど！？」
「「「どういうこと！？」」」
驚いた一同はバッグログを確認し、彼女の置かれた状況を確認し、女子陣は小さく悲鳴を上げる。
動画の中の彼女は、ブラジャーにショートパンツ姿。
そして、ダーツが終わると相手が1枚脱ぐ。
そう、いかさまに気付いた後だったのだ。
「早く行こうよ。俺、そいつら死ぬほど殺したいんだけど」
「俺もコイツに賛成だ。コイツの彼女様が危険なのはクラスメイトでも見逃せねえ」
そう言って、全員また足早にその場を動き出した。
最終地点の前に、一つ気付いたことがあった。それは、黒幕は殺し屋ではないということ。
そしてもう一つ、異変を感じ取った少年が1人。
「寺坂くん、すごい熱」
「いいんだよ。俺は体力だけはあんだ。
烏間の先公が麻痺ガス浴びたのだって、クラスのやつらを殺しかけたのだって、俺のせいだ」
不安を残したまま、一同は最終ステージに上がったのだった。
*
最上階の部屋に入ると、全員が一切の物音を立てず、モニターの前にいる黒幕に近付く。
そのモニターの中には雪目の部屋が映っているものがあり、カルマは殺気をこらえるのに必死だった。
「かゆい、思い出すとかゆい。でもそのせいかなぁ。傷口が空気に触れるから…感覚が鋭敏になっているんだぁ…」
そう言って、モニター前から立ち上がる男。
それは全員が見覚えのある顔。
「どういうつもりだ！鷹岡ぁ！」
「悪い子達だぁ、父ちゃんに会うのに裏口から来るだなんてなぁ。
屋上へ行こうかぁ。お前たちのために準備をしているんだぁ」
「それより、Aはどこ？」
カルマが殺気を放ちながら言う。
男は、隣接されている部屋のドアを指さした。
「まあ、手遅れだろうがなぁ」
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
