××の時間(4) ページ28
「お前ら、人殺しの準備なんてしてないだろ。さっさとボスに頭下げ」
言い切る前に凛香が男の銃に向かって、弾を放つ。
が、それは当たらず虚しく外れる。
すると、男は狂ったように笑い、何やら喋りだす。
それと同時にステージの灯りはつき、見事に逆光となる。
「俺は軍人上がりだ！一度発砲した敵の位置は忘れねえ」
「速水さんはそのまま待機！今撃たなかったのは賢明です千葉くん。君はまだ敵に位置を知られていない。
先生が指示を出すので、ここぞというときに撃ちなさい」
静かな空間に殺せんせーのその声が響く。
「木村くん！5列左へダッシュ！」
その指示通りに名前を呼ばれた者は走り出す。
寺坂、吉田、茅野、不破、赤羽…次々と。
銃を持っている者の位置を把握させないように座席をシャッフルし始めたのだ。
そして、敵が名前と位置を把握して来た頃、
「出席番号12番は右に1で準備しつつ、そのまま待機」
今度は出席番号で呼び始める。更には、ポニーテールなど身体的特徴も混ぜ合わせる。
「最近竹林くん行きつけのメイド喫茶に行ったら、ちょっとハマりそうで怖い人、撹乱のため大きな音を立てる」
「うるせー！なんで知ってんだよ！！」
「夏休み前に浅野くんと彼女を取り合った人！後列に戻る！」
「チッ、殺す」
クラスの全員が、先生に色んな意味で恐ろしさを抱いたのだった。
相手が完全に位置を把握できなくなったその時。
「さて、狙撃です千葉くん。次の先生の指示のあと、君のタイミングで撃ちなさい。速水さんは状況に合わせて彼のフォローを」
そう言うと、2人は今日失敗した殺せんせー暗殺の狙撃の瞬間を思い出し、緊張で冷や汗をかいた。
「大丈夫。失敗したっていい。もし外したって、また位置も撃つ人もシャッフルして誰が撃つか分からない作戦に切り替えればいい。
君達の横には仲間がいる。安心して引き金を引きなさい。」
優しい声色の先生に、2人は覚悟を決める。
"絶対に自分がやってやる"と。
「出席番号12番！今です！」
勢いよく立った12番の額を寸分の狂いもなく撃ち抜く男。
が、それはダミー。
「狙うならあの位置です！」
「おーけー」
そう言って、千葉は別のところから顔を出し、男を狙った。
「ははっはははっ！外したなぁ！」
またしても狂ったように笑う男には銃弾は当たっていなかった。
_次の瞬間、男を後ろから襲うは吊り照明。
千葉は吊り照明の金具を狙ったのだった。
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
