カルマの時間(3) ページ22
店の中に入ると、タバコやお酒の匂いがそこら中に充満していた。
私も紛れながらタバコに火を点ける。
「好きあらばタバコ…ね」
『まぁね！凜香ちゃんも同じ道を辿ろう！』
「絶対嫌」
そんな私達を他所に、一緒に入店した潮田くんを諭すメグちゃん。
「男手が欲しいけど、こういうところはチェックが厳しいの」
潮田くんはカルマの提案で、女装をして一緒に入っていたのだった。
照れてる姿が余計に初心で可愛らしい。
そんな潮田くんは、いつの間にか男にナンパされていた。
女よりも男をナンパする男、面白すぎる。
「ほら！行っておいで！」
「片岡さん…！」
「何かあったら呼ぶから！」
そう言って、男手を早々に失った私達は裏口を目指して先に進む。が、
「よう、お嬢達！女だけ？」
「俺等と今夜、どうよ？」
また別の男にナンパされ、メグちゃんが反論しようとする。
そんなメグちゃんを止めた桃花ちゃんは、前に出る。
「お兄さん達、カッコイイから遊びたいけど、あいにくパパ同伴なの私たち。うちのパパちょっと怖いからやめとこ？」
そう言う桃花ちゃんの手にはヤクザのエンブレム。
「あっ、あぁ！？それがなんだってんだ！」
「まあ、俺等も同類だしなんてことないよ。さあさ、俺等と行こうな」
それでも怯まなかった男達。私達も流石にやばい、と感じた。
すると、
「あぁ？誰の許可得て俺等のツレに出たそうとしてんの？」
「あいにくだけど、この子達の相手はもういるんでね」
「チッ…はったりかと思ったけど、本当かよ。行くぞ」
別の男2人組が、ナンパ野郎を追い払ってくれる。
「あの、ありがとうございます！」
メグちゃんが2人組に礼を言うと、
「いや、礼には及ばねえよ。おい、そこの女。俺等に見覚えはねーか？」
そう言うと、2人は私を指差す。
『…っ！もしかして！私に10万捲くられたシッチとダユじゃない！？あんたらも反社だったの！？』
「Aちゃん、知り合い…？」
『うん！今年の初め頃にうちのバー来て、テキーラショット全員で飲んで吐きながらダーツしたの！うわ懐かし！』
私が楽しそうに言うと、皆は呆れ返っていた。
「ま、ということだ。俺等もあのときの借りがあるから、今日もこいつ、借りていいか？」
そう言うと、ダーツスペースを指差すシッチ。
「くれぐれも、気を付けなさいよ」
『分かってるって！メグちゃん』
そう言って私は2人と歩き出した。
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
