19*カルマの時間 ページ20
どうやら、彼はぬを付けるとかっこいいと聞いた外国人の暗殺者のようだ。
武器を持たず、素手で頚椎や頭蓋骨を砕く。それが彼のスタイルだ。
「雑魚ばかりやるのも面倒だぬ。ボスと仲間を呼んで、皆殺しだぬ」
そう言うと、カルマは観葉植物を振り、彼が持っていた連絡用のトランシーバーを窓に叩きつけた。
「ねぇおじさんぬ。頭蓋骨砕くとか窓ガラスとか割るとか、俺でもできるけど？
それに、速攻仲間呼んじゃうあたり…もしかして、中坊とタイマン張るのも怖い人？」
カルマを止めようとする烏間先生を、更に止める殺せんせー。
以前のカルマは、相手を見下すようにアゴを突き出していた。が、今は違う。アゴを引き、正面から相手と対等に向かい合ってる。
テスト以降、カルマは何かを学んだようだった。
『カルマ、無理はしないでね』
「もちろん。Aも手出し無用だから」
そう言うと、観葉植物を振る。
が、いとも簡単にそれは相手の素手で砕かれる。
「もっといい武器を探すべきぬ」
「必要ないね」
そう言うと、相手の猛攻が始まる。
それを軽々と捌くか避けるかをするカルマ。
防御テクニックに関しては一度も教わったことがない。目で見て盗んだのかな。
戦闘センスが誰よりも高いカルマだからこそ、できることだ。
「どうしたぬ。攻撃しないと永久にここを抜けられぬぞ」
「どうかなぁ。引き付けるだけ引き付けといて、皆をこっそり逃がすのもアリかと思って」
そう言うと、相手の警戒が一瞬こちらに向かう。
「安心しなよ。そんなこすいことは無しだ。
あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ」
そして、攻撃態勢に入り、何度か相手に攻撃を入れると膝に入ったのか相手が背を向けてしゃがみこむ。
チャンス、カルマはそう思っただろう。
そして、近付いた瞬間に
「っ！！」
烏間先生を襲ったガスが再度男から噴射される。
それを直接吸ったカルマは即座に倒れ込む。
男は、カルマの頭を掴みながら言う。
「長期戦は好まぬ。スモッグのガスを試してみることにしたぬ。」
「きっ、汚えぞ！それのどこがフェアだよ！」
「俺は一度も素手だけとは言ってないぬ。こだわることにこだわりすぎない、それもこの仕事を長く続ける秘訣だぬ。」
そう言ってカルマの頭を掴み、宙吊りにする男。
「至近距離のガス噴射、予期していなければ絶対に防げないぬっ！？」
瞬間、男を襲ったのはガス噴射だった。
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
