18*伏魔の時間 ページ17
私達E組で動ける生徒は全員、崖の上にそそりたつホテルを見上げていた。
律ちゃんはこのホテルの図面と警備の位置をハッキングし、唯一警備のいないこの場所から最上階を目指す道順を組んでくれたのだ。
「敵の意のままになりたくないなら手段は1つ。
患者10人と看病に残した2人を除き、動ける生徒でここから侵入し最上階を奇襲して治療薬を奪い取る！！｣
それが殺せんせーの考える"良い方法"だ。
だが、烏間先生やビッチ先生はこの方法に賛成はできない。先生方が迷ってる間に私達はものともしないように崖を登り始める。
「未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから、烏間先生、難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」
磯貝くんが烏間先生にそう言うと、寺坂くんが続いて
「おう。ふざけたマネした奴等に、きっちり落とし前つけてやる」
と放つ。
ここにいるのは一般的な中学生じゃない。16人の立派な特殊部隊だ。
「全員注目！目標は山頂ホテル最上階だ！
隠密潜入から奇襲への連続ミッション！
ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う！いつもと違うのはターゲットのみ！3分でマップを叩き込め！2150作戦開始！」
そう言う烏間先生の目は私達への信頼に溢れていた。
*
スイスイ崖を登るひなたちゃんやカルマ。
なんて運動神経してんの。
「っ！カルマくん待って！」
「待ってあげたいけど、タイムリミットがあるでしょ？」
「…うん！そうだね！」
「茅野ちゃん、その岩尖ってるよ」
「え！？危なかったあ。」
「A、ペース落ちてるけど大丈夫？」
『はぁっ…はぁっ…体力死ぬんだけど…っ』
「なっさけないなぁ」
なんでカルマはこんな状態で喋れてんの！！周りのこと見て余裕そうだし。
『カルマ、無駄にハイスペックなのむかつく』
「どーも」
*
全員が登り切ると、烏間先生の司令と共に律ちゃんが最後の作戦確認を行ってくれた。
その間、なぜかカルマは私の肩をずっと抱いていた。
「通用口、ロック解除」
律ちゃんの言葉とともに、カルマがボソッと呟く。
"あんまり危険なことはしないで。俺が守るから。"
*
中に侵入すると、そこは広いロビー。
警備もウヨウヨと湧いている。
ここを通らなきゃいけないのに、通れない。
烏間先生が判断を渋っていると、
「何よ、普通に通ればいいじゃない」
いつものあっけらかんとしたビッチ先生の声がした。
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
