12*ビジョンの時間 ページ1
「アツはナツいなぁ〜。大阪では猛暑のときにこう言うらしいです」
季節は夏。
煩いほどに鳴くセミの声を背景に、殺せんせーはそう言う。
「あっちぃ…なんで裏山なんかに」
そうグダる杉野くんを先頭に私達は山を下る。
「渚くん。この間の暗殺、凄かったらしいじゃん。見とけばよかった、渚くんの暗殺」
「うん…」
苦笑いをした潮田くん。
隣りにいた私の方にもカルマは目を合わせて、
「それに、Aもアイツに火点けようとしたんだって？おっかなぁい…怒らせないように気を付けないとね」
『その一言が余計なんだよ！』
イタズラに笑うカルマとその光景に更に苦笑いをする潮田くん。
『はぁ…こんなに暑いと、タバコ吸いたくなくなるよね。
酒はガブガブ飲みたいけど』
「でもA、最近派手な飲み方したりとかタバコ吸わなくなったよね？」
『あ…うん。なんか、前よりも欲さなくなったというか…』
「なるほど…つまり、俺が隣りにいるから満足感でやる気が起きてないってことかなぁ？」
『なわけないでしょ！自惚れんな！』
「とか言いつつ、顔赤いけど…図星？」
『ちっ…違うわ！』
カルマを軽く前に押し、私達はカルマの後ろに下がる。
その様子に潮田くんは少し嬉しそうに微笑んでいた。
あながち、間違えではないと思う。
そう思ってしまう自分が悔しくも、嬉しかった。
「ヌルフフフ…さぁて着きましたよ！」
ただの雑木林かと思っていたこの場所。
ガサッと木を掻き分けて視線を向けた先には…
「先生特性のE組専用プールです！」
石に囲まれた空間の中には透明でキラキラとした水が溜まり、コースもしっかり作られ、ちゃんとしたプールがそこにはあった。
「「「やっほー！/やったー！」」」
暑くて暑くてたまらなかった私達は、一斉に運動着を脱ぎ捨て、プールに飛び込んだ。
ジャージの下に水着を着て集合、その意味がようやく分かった。
「水着だと体のラインが出ちゃうのか嫌だなぁ…」
「大丈夫さ茅野。その体もいつかどこかで需要があるさ」
「うん、岡島くん。盗撮やめよっか」
「渚…あんた…本当に男だったのね！」
「今更！？」
「それなら仕方ない…」
なんて、プールの中で思い思いに遊びだす皆。
私は有希子ちゃんと愛美ちゃんと一緒に水の掛け合いっこをしていた。
「にしても、Aちゃん、本当にスタイルがいいわね」
「本当に…。羨ましい限りです！」
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月9日 19時
