硬貨8枚 ページ9
ルーク「やぁ、ムシュー・ミツバチ。もう遊戯は終わったのかい？」
『今日の分はね〜。…あ、もしかして覗いてたの？』
ルーク「まさか！そんな不躾なことはしないよ」
にこやかに微笑みながらドアを閉めるルーク。
何かあったときのために、Aは窓を開けた。
換気を装うように。ルークには魂胆がバレているが。
飛び降りようと思えばこれくらい容易い。スラムで培った脚力は未だに健在だ。軽い怪我くらいで済むだろう。
初めて会話を交わして以来、ルークは何度かAの元に訪れるようになった。
毎回情事の場所は変えているが全部正解。
Aにとってはその当たり前が恐ろしく、聞くに聞けなかった。
『そうだ、いい美容室知りません？髪の毛が鬱陶しくて…』
首にベッタリとついた襟足を拭う。
どうせどんな髪型だとしても自分の顔は霞まない。気にしていなかったが首元に髪があるのは暑苦しい。
ただ、いい美容室は知らない。手先は器用だが散髪に成功するとは限らない。むしろ可能性は低いだろう。
どこがいいとかがわからない。だから、美に詳しいポムフィオーレのルークに聞いたわけだ。
この穏やかな時間があるからこそできた質問だった。
『特に執着は無いんだけど〜…』
ルーク「ふむ………それなら私が請け負う、なんてのはどうかい？」
"器用さには自信がある"と付け足す。
…確かにいいかもしれない。わざわざ休日の予定に美容室を入れると待ち時間などで予定が押してしまう。
ポムフィオーレで散髪してもらうのなら時間はかかっても待つことはない。
それに、親睦を深めることも出来るはず。
『じゃあ、お願いしようかなぁ。いいの？』
ルーク「お安い御用さ！私はいつでも構わないよ」
『ヒャハ、じゃあ今？』
ルーク「ならばすぐに行こうか！」
『わ"ぅ！？何何！？』
距離を詰めてきたと思えば、すかさず姫抱き。
普段は可愛らしく驚かなくては、とAは頭に入れているのに素で驚いてしまった。
そしてそのまま窓へと歩いていく。
……えぇ、このまま連れ出されるの？それってどういう拷問……？
ルーク「大切な商売道具には傷を付けないから安心しておくれ」
『そこは心配してないけど…』
ルーク「さぁ行くよ！」
『何でここから！？』
いつ命を落としてもいいように生きてはいるが、こういうのは慣れない。
風を切る感覚に固く目を瞑ると、2人の体は穏やかに上昇した。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです！！ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年8月17日 18時) (
レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく読んでいて楽しい作品でした！またどこかで貴方様の作品に出会えますように（＾ν＾） (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください！応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます！お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか？ (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高！ (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：諒 | 作成日時：2020年8月2日 13時
