【ツイステ】捕食者。【男主】

硬貨2枚 ページ3

『ラギー兄ちゃん！』


ラギー「うぉッ、ビックリした〜…」


『久しぶり〜！会いたかったぁ！』




入学式。各寮で生徒の確認を終えると、すかさずAはラギーに抱き着いた。



突然の衝撃に軽くよろけたが、自分より軽く小さいAを簡単に抱きとめた。
久しい再開に、両者とも喉を鳴らす。




ラギー「…ってか！式典服とか自分のッスよね！？いつの間にそんなに金持ちに…」




軽く身を離し、頭の先から足まで見る。




どれも新品でサイズもピッタリだった。
普通はそれが当たり前だが、スラム育ちの彼らはそうじゃない。貧しい家庭だったはず、なんならラギーの実家よりも貧しかったはずだ。



にも関わらず、数万はくだらない制服、式典服を手にいれていることに疑問を抱くのは当たり前のことだろう。




ラギーが質問をすると、Aは嬉しそうに笑った。フードと風に揺れる裾を軽く摘みながら。




『これね、パパが買ってくれたの！』


ラギー「パパ…？ちょ、待つッス、父親は蒸発したはずじゃ、」


『うん！だから、別のパパ♡』




ラギーの脳内に1つ、考えがよぎる。



ここ最近では聞いていない。自分の実家のあるスラムでも無かった。貧しい家庭で身体を売るのは母親だけだったからだ。



パパ、というのも自分が身を売っている相手のことだろう。



ただ、スラムにいる子供相手に大金を叩くだろうか？普通は下に見て少額で済ませるはず。一体何故……？




ラギー「…大体察したけど…大丈夫なんスカ？ナメられたりとか」


『いいんだよ、お金さえくれれば、ね』




ニンマリと笑うAにラギーはため息をつく。




まぁ、本人が決めたことだ。自分が口を出すことではない。そもそも言ったところで折れたりはしないし。



ただでさえ曲者が多いサバナクロー寮。
もしかしたら1番の曲者かもしれない。ま、自分が損しなきゃいいか、なんて呑気に考えていた。




『(フンフン…バカっぽいのがたくさ〜ん…！ヒャハ、カモたくさんいたりして！)』




ラギーの後ろを歩くAの尻尾がゆらゆらと揺れた。

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