結婚しようと言われた朝に【赤】 (ページ4)

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もちろんこんな突発的なプロポーズだから余韻なんてできる暇もなく。

朝食を終えたらすぐ出る時間になってしまったジェシーを見送って、

私も片づけと身だしなみを整えて仕事に出た。

こういう時、フレックスタイム制の会社に就職してよかったなと思う。

今の会社に勤めて5年。

やりがいも責任も出てきて大変な時もあるけど、その度仕事が好きだなって思うから楽しい。

通勤はいつも電車。

今日はジェシーの家に泊まったから職場までもかなり近い。

都心の真ん中に住む彼氏を持つとこんなメリットもあるんだよなぁ

ふと顔をあげると、電車の中吊り広告には今朝見た顔がキリっとした表情で佇んでいた。

今度発売になる雑誌の表紙を飾るようで、大人な表情をしていてすごくカッコいい。

あ、この間までしてた髪色だから、結構前に撮影したんだな、なんて思っちゃう。

「あ、ジェシーだ！」

街中で彼の名前を聞くのも慣れてきているのに、やっぱり急に来るとびっくりする。

振り返ると女子高生が2人、中吊り広告を見上げていた。

「かっこいい～この雑誌いつ発売だっけ？」

「明日だよ！買わなきゃ！」

キラキラして可愛い表情をしている彼女たちが、一生懸命高い位置に飾られたジェシーを見上げていた。

そう、彼は正真正銘のアイドル。

そんな彼にプロポーズされた私は、ただの一般人ＯＬです。

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