優しい吸血鬼との暮らし方5

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ここに来てもう1ヵ月ほど経っただろうか。


私の体は来た時よりかなり痩せてしまった。

健康的な痩せ方ではなく、なんだか体が骨ばっている。


この体を見せたら、皆きっと心配するだろうな…


もう可愛いって言ってもらえないかもしれない。

それはちょっと、寂しいな






最近、まともに食事がとれてない。

食事をしてもそのまま戻してしまう事がほとんどだ。


体調が回復してから、私は餌として扱われるようになった。


急に部屋に来て、ただ血を吸って行為をして出ていく。

そんな緊張感から、食事を摂ろうとしても吐いてしまう。



それに眠っていても急に吸血される事もあって、

眠りもどんどん浅くなってきているように感じる。




ちゃんと食べて眠るって皆と約束したのに、守れなくてごめんね

食事に対する恐怖感はなくなったのに、何故かうまく喉を通らないんだ




岸がわざわざ食事を作ってくれるけど、全然ほしいと思わない。

もはや点滴でいいくらいに思えてきた。

岸が戻ってきたら、点滴でもういいよって言おうかな。









しばらく岸が持ってきてくれたのは、お味噌汁。

お味噌汁のいい匂いが、私の鼻をくすぐった。



具材は野菜がたっぷりと入っていて、

昔優吾が同じお味噌汁を作ってくれたのを思い出す。



お粥やうどん以外のものを食べるのは久しぶりだ。



お味噌汁を受け取って、器から感じる温かさが心地よい。




ふと顔をあげると、ニコニコと私の顔を見つめてくる岸は、

ベッドサイドに腕を乗せて私のごはんの感想を待っているのだろうか。




最初におかゆを食べた時以外こんなに見つめてくる事なんてなかったのに。



疑問に思いながら、お味噌汁を一口飲む。








『…うそ』







一口飲んだだけで、わかった。








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