219.弟とお見舞い ページ14
「失礼します。」
戸を開けた瞬間、強い消毒液と包帯の臭いが鼻を貫く。
衝立で隔てられたどのベッドからも脚が覗いている。
通路を養護教諭達が忙しなく働いており、養生と安静のためのはずの保健室は騒がしい。
「ステイ！悪いがベッドは埋まってる。」
「あ、先生。」
「そこの紙に名前を書いて、寮で待機していろ。後で養護教諭が巡回を...ん？なんだ。お前達はピンピンしているな。医務室に何の用だ？」
教鞭をしならせ、傷薬と包帯を使いやすいよう整理していたクルーウェルがこちらを振り返る。
質素な保健室にブランド物で固められた衣服を身に纏う彼は相当浮いていた。
「寮の先輩に運ばれた人の様子を見てくるよう頼まれて。」
「俺もです。クルーウェル先生こそ、どうしてここに？」
1年A組の担任である彼もヴェーガ同様、エースとデュースのことを見にきたらしい。
そしてユウの怪我にも目敏く気づき、絆創膏を貼りきれなかった大きな擦り傷を手当てするために手招きした。
「デュース達はどのベッドに...あ。」
「2人はまだ目を覚ましてないよ。」
エースとデュースの間のベッドから上半身を起こし、エペルは声をかけた。
「エペル！もう起きて大丈夫なの？」
「平気。まだ体がちょっとピリピリしてるけど。」
ユウの手当てを終わらせたクルーウェルは、厳しい顔をして彼らを見る。
担ぎ込まれた3人にかけられた魔法は気絶や戦意消失を目的とした電撃が主であり、彼らに外傷が多いのは戦った場所が原因だと言う。
ただでさえボロボロの建物内で何の配慮もなく魔法を放てば、敵どころか味方にも被害が出る。
魔法を同時に展開する技量も集中力もまだない1年生には、攻撃しながら魔法障壁を張ることはできない。
「突発的に交戦状態に陥った時こそ、冷静な状況判断が大切になる。そうでなければ、このように自滅する。」
意識を取り戻さない担当クラスの駄犬を見下ろした整った顔には呆れと、少しの怒りが滲んでいた。
「あ、あはは。確かに戦っている間ずっと上から瓦礫が降ってきてた、かな？」
説教の中ピリついた雰囲気を少し和らげようと、エペルが冗談混じりで笑ってみせた。
「屋根の上から大鍋も降ってきてたよね。」
「これだから後先考えないバッドボーイどもは...起きたらみっちりしつけ直してやる。」
エペルにはクルーウェルが事情を鑑みず頭ごなしに怒っているように映り、庇うようにムッとした顔をした。
「でも、2人は先輩方のために...」
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あお - 今日この作品を見つけて、一気に読みました！！とても面白かったです☺男主が魅力的でとても楽しくお話を読ませていただきました！お体に気をつけて更新頑張ってください！！ (3月30日 23時) (
レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
葱(プロフ) - 遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。更新をずっとお待ちしておりました！これからも無理のない範囲で更新頑張ってください！ (3月29日 1時) (レス) id: ec1bbf9e0f (このIDを非表示/違反報告)
弐番目の子(プロフ) - 遅れました！お誕生日おめでとうございます！㊗️成人!これからも応援しています！ (3月24日 15時) (レス) @page15 id: ba785ca851 (このIDを非表示/違反報告)
白 - お誕生日、おめでとうございます！！！！久々の更新でとても嬉しいです！これからも応援してます！！！！ (3月24日 9時) (レス) id: 009b20195a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきっき(プロフ) - 少し遅れましたが、お誕生日おめでとうございます！更新が見られて嬉しいです！ (3月24日 0時) (レス) @page15 id: e77387d96a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年8月31日 0時
