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1-2 推しと似た人物、というより本物なのでは? ページ2

不覚にも推しと名前が同じなので心臓が破裂しそうだったのを抑えた。胸を抑えた私を不思議そうに見つめたニコライさん。

「確かに僕は生まれは日本じゃない。」

「そっか。それじゃあ辛いことを思い出させるかもしれないけど、私の家に居た時何があったの?」

私が疑問を口にした時、私はニコライさんが少し言うのを躊躇っていることに気がついた。安心させようと、咄嗟に手を握った。

「あっ、ごめんなさい。」

自分が手を握ったことに気がついて、離そうとすると、逆に繋ぎ返されてしまった。

「___ケンカなんだ。」

「……え」

「だから、ケンカ。」

あまりのあっさりした答えに、私は気が抜けてしまった。しかし手は繋がれたまま。なんだかドキドキしてきてしまった。チラッとニコライさんの顔を見ると恥ずかしそうに下を向いていた。

「ケンカで普通相手を殺しかけるかな。」

「普通はしないよね。」

ニコライさんはそう言ったあと、フワッと笑った。私はその姿にほっと胸を撫で下ろした。

次に黒髪の男の元へ向かった。黒髪の男はニコライさんより損傷が激しく、様々な点滴や輸血が施されている。医師によればあと数時間で目を覚ますそうだが、私は医師より半日くらい時間が必要だと考えている。そしてその男の前で手を合わせ、神に願った。「この男の人が早く目覚めますように。」と。そうしたら、その男はどういうことか目覚めたのだ。

「あ、起きた。私の名はA Aと言います。貴方の名は?」

また寝てしまうと考えてしまって早口で名前を聞いた。その男はよく見てみれば整った顔をしており、赤色の目がルビーよりは黒いが、宝石のようだった。元々色白なのか、顔色は白いを超えて青かった。

「__フョードル」

私はその名前を聞いて1つの可能性が頭に浮かんだ。しかしそれはあまりにも馬鹿げていて、ありえない。名前を言ったフョードルさんはまた、眠ってしまった。

病室を出て、ドアの近くでうずくまった。まさか文ストのニコライとドストエフスキーなのではないか。よく良く考えれば、2人はゴーゴリとドスくんによく似てるし、でもなんでケンカを?ゴーゴリはドスくんを“親友”として慕う程の仲だったはずだ。

「あの、A様。こちらの方で家に不法侵入してきた方々について調べてみたのですが、全く情報も戸籍もなく、お手上げなのです。」

1-3 本物だった。→←Ep.1-1仕事から帰ってきただけなのに。



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作者名:シズク | 作成日時:2023年9月24日 23時

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