Ep.1-1仕事から帰ってきただけなのに。 ページ1
「今日は早く帰れたぞ。」
私は最近会社がブラックすぎて死にかけてる社畜だよ。今日はマジで残業しそうなくらいの仕事量上司から押し付けられたんだけど、私の天才的な仕事処理でいつもより早く帰れた!なんてったって今日は推しのグッズが届く日だからね!そりゃ体も強制的に処理しますわ、とルンルンで帰り道を帰っていた。私は車の免許取るのは怖くてできないチキン野郎なんで、車は乗れない。おかげで少しは体力おばけになってたりなってなかったり。
家の前に着けば、何故か家の中から人の気配がした。怖くなって勢いよくドアを開けた。何故か家の中から人間の血液特有の鉄の匂いが充満していた。人が死んだのか?と恐ろしくなり走って匂いの元へ辿っていく。そこには白髪と黒髪の成人男性が二人、横たわっていた。
「大丈夫ですか!?生きてますか!?」
反射的に白髪の方の安否確認をした。頭を強打したのか酷い出血で呼吸も早く、浅い。黒髪の男は腹部が裂けており、更に顔に刃物で切れた跡がある。黒髪の方が死にかけである。急いで救急車を呼んで、死にものぐるいで二人の応急処置にかかる。幼少期に看護師になりたく、その夢を少しだけ叶えようとココ最近医学本を読んだ知識が生かされた。
「酷い出血だ。止血をしなきゃ。ガーゼと包帯、大量に買っておいてよかった。」
大量出血の場合、直接出血部分に圧迫するのが有効だ。雑菌が入らないようにビニール袋などを手に装着する方がいい。まずは緊急性の高い黒髪の男から始めた。
「まじ生きろよ。ここで死なれちゃあ私が亡くなった親族に顔見せ出来なくなっちゃうかんな。」
そう独り言を呟いた。本心である。最終的に応急処置は救急車が到着するまで終わらなかった。救急車には白髪の男の方に一緒に乗らせてもらった。その日は病院に泊まった。
翌朝、二人の男が無菌室から出たとの事で私が面会することとなった。最初に会う男は白髪の男。病室に入ると窓の外を寂しそうな背中を私たちに見せながら見ていた。
「貴方、死ぬか生きるか瀬戸際になっていたんだよ。」
私が話しかければ振り向く白髪の男。その時、初めてその男の顔をよく見た。綺麗な顔に、左目に傷のような縦線。惹き付けられるオッドアイの目。カラコンだとしても綺麗だった。
「はじめまして。私の名前はA A。貴方は?」
「ニコライ。」
「へえ、もしかして生まれは日本じゃない感じ?」
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作者名:シズク | 作成日時:2023年9月24日 23時