【１９匹目】 ページ21
.
｢あぁ、そういえばグロスがまた新しい色になっているな｣
ふと、デイヴィスさんが私の前髪を手の甲で少し持ち上げて顔を覗いてくる
｢気づきました？よく買っているところの新作なんです｣
｢よく似合ってる｣
｢ほんとですか？ありがとうございます…！｣
彼もいつも化粧をしている。
目頭から目尻にかけて白から黒へのグラデーション
その配色がとても綺麗で、バランスがよくて、彼のグレーの瞳にとてもあっていて素敵だった
口にも薄いグロスを塗っているし、ほんとにオシャレで綺麗な人だ
隣に立っているのが恥ずかしいくらい
｢なぁ、A｣
｢なんですか？｣
｢少し気になっていたことがあるんだが、お前は恋人とかは作らないのか？｣
｢え？｣
｢人のことは言えないが、もういい歳だろ？俺とばかり遊んでいたら恋人を作る邪魔になるかと思ってな。気になる人がいたりしないのか？｣
｢気になる人…ですか？｣
そんなの…っ、あなた以外にいないですよ
そんな言葉はさすがに言えず、きゅっと口を噤んだ
もしかして、彼は好きな人がいるのかな？
だから私と会うのよりその人と会いたいから
私が邪魔になっちゃったのかな…？
｢私は、いまは特に作る気ないですよ。恋人｣
｢…そうか｣
｢デイヴィスさんこそいないんですか？想いを寄せてる人｣
｢あぁ、いる｣
｢…へ｣
即答で返ってきたその応えにパキン、と心に亀裂が入る音が聞こえた
いるんだ…好きな人
そっか、
｢そうだったんですね…！いいんですか？私とずっと遊んだりしてて、好きな人に使った方がいいですよ？せっかくの時間なんですから｣
ツキン、ツキンと胸が痛い
笑顔でいるのが、辛い
外はもうオレンジに染まってきていた
もう少ししたら、帰れる
それまで我慢だ私
そしたら…ちゃんと我慢したら
吐き出していいから
彼が口を開こうとした時、私の携帯が鳴る
｢ごめんなさい、少し出てきてもいいですか？｣
｢あ…構わない、ゆっくり話してこい｣
彼のオーケーをもらって、席を立つ
電話をかけてきたのは上司で、取引先に出勤日朝イチで連絡をいれて欲しいとのことだった
｢かしこまりました。連絡しておきます。｣
…申し訳ないけど、助かったと思ってしまった
どうすればいいか分からなかったから
まだ、泣いちゃダメだ
泣いたら痕が残る
まだ、我慢だ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1787人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あおい(プロフ) - 初コメ失礼します。リクエストになるのですが、二人が大喧嘩をしてしまう様子を見たいです！よろしくお願いします。 (2020年8月10日 0時) (
レス) id: 34a265efc7 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 素敵なお話ありがとうございました！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - んんん、耳と尻尾が生えたクルーウェル夫婦最高でした…！まじでごちそうさまでした (2020年8月5日 20時) (レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 最高過ぎます！！リクエストになるのですが、、、魔法の力を高めたい夢主ちゃんはマレウスとリリアに教わり仲良くなる様子が見たいです！ついでにクルーウェル先生とリリアの絡みがあれば嬉しいです。笑 (2020年8月3日 17時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお - 最高でしたありがとうございました (2020年8月3日 15時) (レス) id: ec620c1410 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルイ x他1人 | 作成日時：2020年7月28日 19時
