【twst】我らがクソ監督生【男主】

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「待って、デュースどうやったらそうなるんだよ」
「だって、この章のタイトルに課題の植物の名前が載ってるだろ？ここの文訳せばいいんじゃないのか？」
「バッカ、お前、そこは同等の植物種紹介してるだけじゃねえか。今回の実験についてはこっち。ほら、この植物の例も欄外だが書いてあるだろ？」
「あ…、本当だ」

「俺が読み上げてやるからそのまま写せよ？…『過酷な環境における赤草について』」


　参考資料の指定の章をサラサラと読み上げると、デュースはクソ真面目に写していく。

　伏せられた目にかかる睫毛が長くて、つんと尖った鼻先、真一文字に結んだ薄い唇。暗色の髪と目は俺とおんなじはずなのに、俺のふにゃふにゃ癖っ毛とは違って、光を浴びてキラキラ光ってる。運動部で俺と同じ喧嘩っ早いはずなのに、肌は真っ白で、つるつる。
　まるでアニメのキャラクターみたいだなあってぼんやり考えていると、読み上げを辞めた俺をデュースが不思議そうな顔で見つめてきた。


「…あぁ、ごめん、『ミュセンによると、古代神話の神の使いとされるデルーを回復させたのには、一定の環境下で生育させた数種の薬草が必要であり、それらからはデルーの生育可能な場所の推測に役立つのではないかと説かれている。』」


「なあ、監督生」

　急に手を止めたデュースと目が合った。

　今は放課後、課題で詰まっているデュースは置いて、エースはバスケ部に行ってしまったし、グリムも早々に寮に帰ってしまった。あの狸は、最近夕方に寝て夜通しスカラビアの宴で夜通し食べ明かすことにハマっている。


「本当に行くのか…？」
「カントクセーくん」

　デュースが不安げに眉を寄せたまま固まる。無邪気な声で自分が呼ばれた事には気が付いていた。その声の主は、サバナクロー寮長の御使いに来たのだろう。

　放課後、つまり、レオナに呼び出されているのを俺は半すっぽかし状態でここに居る訳だ。だって俺連絡手段ねえし。スマホは持ってるけど、レオナ先輩の連絡手段何て知らねえし、興味もねえし。それなら、明日の昼飯の奢りの約束してくれるデュースちゃんに勉強教えてる方がいいし。
　まあでも、あの人がマジカメやってたらウケるな。今度探してみよ。

　口の端は上がっていて、にっこりと人当たりの良い笑顔を浮かべているラギー・ブッチがそこにはいた。一見友好的に見える彼の目は、驚くほどに冷めきっていた。



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