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「驚いたな」
「え…?」


 スパークリングウォーターを一口、口に含んだ監督生は、炭酸がきつかったのか、きゅっと眉を寄せる。それでも、クルーウェルの発した言葉に反応して視線は上がり、しっかりと彼の方を見ている。


 デザートを食べ終わり、口直しを済ませた監督生とクルーウェルが居たのは、全体的に暗い雰囲気を醸し出す都市部の高層ビルの屋上に位置するレストランだ。
 勿論、それなりの服装・振る舞いが無いと入る事すら許されない。そう言った場所であった。


 唇に付いた水滴を手元まで持ち上げたナプキンで拭う際、顔は一切動かない。料理を食す際もそうだ。器用にフォークとナイフだけで一口大に切り、優雅に口に運ぶ。
 背凭れに身体を預けず、浅く腰掛けた背筋はピンと伸びていて、何事にも動じずそのままで食事を済ませるその様は、一朝一夕では身に付かないはずだ。


 勿論、クルーウェルも最低限、紳士としての振舞は身に着けているつもりだ。
 それは、彼の32歳という年齢を考えれば至極当たり前の事であったし、彼自身新しい知識を得ることを苦痛に思わないどころか、興味深く吸収できる性分だったので、こういう系統のレストランでマナーを欠くようなことは無いはずだ。

 しかし、監督生は違う。彼の飲むそれは、他の大人たちとは違い、ノンアルコールのものだ。
 多少の着飾りで容姿こそ成人済みに見えようとも、振舞い次第でそれは稚拙にも映る。

 彼は未成年だ。そんなもの、彼の教師を勤めている自分が一番わかっている事だった。


 それなのに、彼は高級レストランの作法全てを身に着けているように思えた。それも異なる性別、女性としての振舞が身体に染みついている。今の彼は、どうしても子供のそれには思えなかったのである。



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副村(プロフ) - やまかさん» わー!ほんとだ!!!見返ししていなかったのが仇となりました…。お恥ずかしい限りです。申し訳ございません。ご指摘ありがとうございます。これからもご愛読いただける作品になりますよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします…! (2020年10月11日 2時) (レス) id: f5b1efd963 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - いつも面白いお話をありがとうございます。これからも陰ながら応援させて頂きます。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - はじめまして、いつも拝読させて頂いおります。1つ訂正して頂きたい箇所がありましてコメント致しました。クルーウェル先生の名前の事なのですが、『デイヴィス・クルーウェル』です。『デイヴィル』となっておりますので訂正して頂けると幸いです。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
副村(プロフ) - 星猫さん» 知っているアニメ…!?副村(私)のでしょうか…?最近は殆どですが、数年前はアニメ観まくってましたー笑 (2020年9月30日 2時) (レス) id: 7af6887a6c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 副村さん» 知ってるアニメは何ですか? (2020年9月29日 22時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:副村 | 作成日時:2020年9月23日 22時

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