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監督生自身は、自分のはっきりとしたこの目を嫌っていた。
大きな目に相まって、幼く見える童顔と、低めの身長。周りは見た目だけで彼の事を『弱者』として認識した。
ある所では、庇護対象として。ある所では欲と力の捌け口として。彼は以前から散々な仕打ちを受けたのだろうし、それはナイトレイブンカレッジでも変わらなかったようだった。
だから、彼は形勢逆転を狙った。もう、狙い通り彼の事を弱い人間だと認識するものは居なくなった。
彼は、表情が読みにくい。へらりと浮かべるいつもの貼り付けただけの笑顔は、鈍感な人でも作り物の仮面であると認識できるほどである。
その瞳は、底なし沼の様に黒く、読めない表情で自分の深部を暴かれる感覚になることの怖さを、きっと監督生は知らない。
魔法を無力化するのに最も有効的なのは、感情を揺さぶる事だ。
魔法はイメージを具現化したもの。思考を崩してやれば、途端に効力を弱める。
つまり、一度相手に勝てないと、叶わないと思ってしまうと、途端に魔法は勢いを失い、強い魔法を放てなくなるのだ。
ジャミルの
そんな世界において、監督生の恐ろしいほどまでに闇深い瞳は、見るものに恐ろしいという感情を抱かせる。
彼の無遠慮までに相手の瞳を覗き込む行為は、それは前の世界でも通用するように、相手をビビらせるための物だった。だが、その一瞬の相手に対する『恐れ』の感情が命取りになるのが、魔法という力の欠点だった。
「…。誰しもがアンタみたいに鏡大好きな訳じゃないんですけど」
「あら、アタシにもあるわよ。コンプレックスくらい」
「はッ!?その見た目で!?…ハー、完璧主義者はこれだから…、努力じゃどーにもならんこともあるんスよー…嘆いても薬打っても、俺の童顔は治んねえし。」
「打った薬品については後で詳しく追求するとしても。…それより先にアンタには治すところがあるでしょう」
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副村(プロフ) - やまかさん» わー!ほんとだ!!!見返ししていなかったのが仇となりました…。お恥ずかしい限りです。申し訳ございません。ご指摘ありがとうございます。これからもご愛読いただける作品になりますよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします…! (2020年10月11日 2時) (レス) id: f5b1efd963 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - いつも面白いお話をありがとうございます。これからも陰ながら応援させて頂きます。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - はじめまして、いつも拝読させて頂いおります。1つ訂正して頂きたい箇所がありましてコメント致しました。クルーウェル先生の名前の事なのですが、『デイヴィス・クルーウェル』です。『デイヴィル』となっておりますので訂正して頂けると幸いです。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
副村(プロフ) - 星猫さん» 知っているアニメ…!?副村(私)のでしょうか…?最近は殆どですが、数年前はアニメ観まくってましたー笑 (2020年9月30日 2時) (レス) id: 7af6887a6c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 副村さん» 知ってるアニメは何ですか? (2020年9月29日 22時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:副村 | 作成日時:2020年9月23日 22時