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P−28◆「無である」 ページ31

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「魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させるわけにはいかない──心配はいりません、闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう。さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて………」


ほっ、と心からの安堵が吐息になって漏れ出たといった様子のユウ。そのすぐ後に、こちらを一瞬名残惜しげにちらりと見たのは気のせいだろうか。

ともかくこれでユウは家に帰れる。
言葉も交わしたことのない間柄ではあるものの、思わず「良かったね」と声をかけたくなるような衝動に駆られた。


「さあ闇の鏡よ! この者をあるべき場所へ導きたまえ!」


クロウリーは、仰々しい様子で高らかにそう口にした。さながら儀式、いや儀式であることには違いないのだろうが。


「………………」


──しかし。
闇の鏡は応えない。聞こえていないのではなく、聞こえていて敢えて答えていないように見える。

クロウリーは空咳で仕切り直し、もう一度声を張り上げる。


「もう一度。闇の鏡よ! この者を──」

「どこにもない……」

「──え?」


反射的に出ていた声は親子でぴったりと揃った。
Aの耳がおかしくさえなければもう1人分、ユウの困惑も重なっていた気がする。


「この者のあるべき場所はこの世界のどこにも無い……無である」

「嘘!?」


「無である」、ついさっきも耳にしたフレーズ。
けれど今回は無であるもののスケールが違う。帰るべき場所どころではなく、あるべき場所がこの世界に存在しない──そんな、馬鹿なこと。


「なんですって? そんなこと有り得ない! ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです!」

「………………」


頭を抱えうめくクロウリーを横目に、闇の鏡はどこ吹く風と言わんばかりだ。実際闇の鏡は真実を口にしているだけなのだから、その態度に何ら問題めいたものはない。


「私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……そもそも貴方どこの国から来たんです?」

「実は……」


ユウの口にした地名に全くと言っていいほど聞き覚えがなかったのは、Aだけでなくクロウリーも同じだったようだ。共に首を傾げ、困惑し切ったように顔を見合わせる。


「そんな場所あったっけ……?」

「……聞いたことのない地名ですね。私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名は聞いたことがない……一度、図書館で調べてみましょう──ああ、その前にAを寮へ送って」

「いやいや絶対、ユウ──だよね、この子の方が優先順位高いでしょ!?」


Aの言葉に両名の目が一斉に丸くなる。ただ、その顔色だけが面白いほどに違っていた。

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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年3月31日 22時

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