P−17◆嫌な予感、からの ページ20
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「そこのニンゲンと違って、オレ様は魔法が使えるんだゾ! だから代わりにオレ様を学校に入れろ! 魔法なら、とびっきりのを今見せてやるんだゾ!」
「みんな伏せて!!」
狸が高らかにそう言うのと、Aが嫌な予感を覚えるのと、赤髪の男が叫んで皆が反射的に動くのと。いずれもほぼ同じだった。
「ん゛な゛〜〜〜っ!!」
次の瞬間、視界に蒼い火花が散る。
それが身体の異常でも幻覚でも何でもないということは、一瞬にして鏡の間に燃え広がった蒼い炎と、数秒遅れで感じ取った熱さが教えてくれた。
「わっ!? え、火!?」
「あの狸が火吐いたのか!?」
この唐突すぎる異常事態に当惑する他ないAとエースの声を上書きする声量で、ターバンの男が飛び上がりながら叫んだ。
「うわぁっ!! あちちちっ!! 尻に火が!!」
「このままでは学園が火の海です! 誰かあの狸を捕まえてください!!」
「チッ……かったりぃな」
「アラ、狩りはお得意でしょ? まるまる太った絶好のオヤツじゃない」
「なんで俺が。テメェがやれよ」
まるで危機感を感じられないこの会話に構わず、眼鏡をかけた男がわざとらしく大きな身振り手振りを添えてクロウリーに声を掛ける。
「クロウリー先生、おまかせください! いたいけな小動物をいたぶって捕獲するというみなさんが嫌がる役目、この僕が請け負います」
「さすがアズール氏。内申の点数稼ぎキマシタワー」
わざとらしいのは身振りだけでは無かったようだ。アズールと呼ばれた眼鏡の男のあからさまな物言いに、タブレットの声も軽く皮肉めく。
続いてターバンの男が悲鳴じみた声を上げた。
「なあ、誰かオレのケツの火ぃ消してくれてもよくねえ!?」
「みなさん、私の話聞いてます!?」
この
しかし、足元に飛んできた火の粉に軽く悲鳴を上げると同時に我に返る。
「大丈夫かA!?」
「うん、一応! ……これ消しに行った方が良いかな?」
「いや、危ねえって! それに、きっと誰か寮長が消してくれるし」
「あー……そう、だね」
……果たしてちゃんと消しに行く者は現れるのか、不安になってAは再び苦笑いをした。
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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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