P−24◆志すは大魔法士 ページ27
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やや遅れて状況を理解したクロウリーが、「ご、ごほん!」とかなり雑な仕切り直しを試みる。
「どうにかしてください! 貴方の使い魔でしょう!? しっかり躾を……」
「俺のじゃありませんって!」
訳の分からない状況を前にオロオロと周りを伺う他なかった、ユウと名乗った例の「魔力のない新入生」が、いくらか冷静さを取り戻したのか声を荒げる。
仮面越しでも分かるぐらいに、クロウリーの目が点になった。
「……え? 貴方のじゃない?」
「だからさっきから何度も言ってるじゃないですか!!」
「……そ、そうでしたっけ?」
式典服のフードを目深にかぶって可能な限り視線を浴びないようにするAも、これには思わず呆れのあまりため息を吐いた。「ユウ」の心中を察するというか何というか。
クロウリーは再び、咳払いでむりくり話を変えた。
「ごほん! では、学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので。誰かお願いします」
「ぎにゃー! 離すんだゾ! オレ様は……絶対、絶対! 大魔法士になってやるんだゾー……!」
「あっ……」
鏡の間の外に連れ出されていくグリムに、Aが思わず手を伸ばす。
暴れたい放題に暴れてくれたグリムだが、今の懸命に叫ぶ様子を見てしまえば、若干同情の余地もあるのではないかと思わざるを得ない。
ユウも、何か言いたげだが結局言葉が出てこなかった──というような顔をしている。
一方のクロウリーは、これで良しと言わんばかりにホッとため息を吐くと、周りの生徒一同を見回した。
「少々予定外のトラブルはありましたが、入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻ってください──ん? そういえば、ディアソムニア寮寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……」
ドラコニア。
Aの長い睫毛がぴくりと動く。
「アイツがいないのはいつものことだろ?」
「あれ? もしかして、誰も式のこと伝えてないのか?」
サバナクローの寮長が面倒くさそうにそう言うと、ターバンを巻いた男が目を丸くして周りの寮長達をきょろきょろと見やった。
美貌の男は呆れ混じりに言う。
「そんなに言うならアンタが伝えてやればよかったじゃない」
「うーん……でもオレ、アイツのことあんま知らないんだよなー」
日常モードを崩さない寮長達とは正反対に、新入生達はA同様、「ドラコニア」という単語を聞くやいなや途端にざわつき始めた。
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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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